解体工事で発生した廃石膏ボードは「がれき類」に該当する?
尾上雅典
この記事の執筆者
尾上雅典
行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q:解体工事で発生した廃石膏ボードは「がれき類」に該当する?
A:廃石膏ボードは「がれき類」ではありません。
疑問

廃石膏ボードは、工作物の除去に伴って発生したものだから「がれき類」に該当するのじゃないの?

① 廃石膏ボードの廃棄物処理法上の種類

現在、廃石膏ボードは、排出状況(製造工程・新築・解体)を問わず、「紙くず」と「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」の混合物 として扱われています。

環境省の平成18年6月1日付通知以前は、「石膏ボードから壁紙を除いたものは安定型最終処分場で埋立可能」とされていましたが、安定型最終処分場で硫化水素が発生する原因となることが明らかとなったため、同通知以降は安定型最終処分場での処分が禁止されました。

そもそも「がれき類」(施行令第2条第九号)の定義は 「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」であり、

石膏ボードは石膏(硫酸カルシウム)を芯材として紙で挟んだ建材であって、「コンクリートの破片その他これに類する不要物」とは性状からして異なります。

② 石膏ボードの特徴

  • 構造:芯材=石膏(硫酸カルシウム二水和物 CaSO₄・2H₂O)+両面のボード用原紙という、無機物と有機物の複合製品
  • 厄介な性質:水に濡れて有機物とともに嫌気状態(無酸素)に置かれると、地中の硫酸塩還元菌が活発になり、石膏の硫黄分を分解して硫化水素が発生する。硫化水素は腐卵臭をもち、高濃度になると吸い込んだ人が死に至ることもある有毒ガスです。
  • 過去製品のリスク:建築物に使われている石膏ボードの中には、石綿(アスベスト)・砒素・カドミウムといった有害物質を含有する製品が一部存在します。石綿含有なら破砕は禁止、非飛散性アスベスト(レベル3)として原形のまま処理しなければなりません。

③ 安定型処分場への埋立て規制の経緯

安定型最終処分場での埋立が禁止されるまでに至った経緯は次のとおりです。

  • 平成 18 年 6 月 1 日付通知以前:紙付き石膏ボードは紙(有機物)が付くため安定型に不適 → 安定型産業廃棄物から除外。ただし「紙を除いたものは安定型最終処分場で埋立てできる」とされていました(平成10年局長通知等)。
  • 転機:平成17(2005)年6月、国立環境研究所から、紙を分離した石膏粉自体に硫化水素発生原因があるとの研究結果が示される。
  • 平成18年6月1日付通知:平成18(2006)年6月1日付けの廃棄物・リサイクル対策部長通知で「紙を除いたものは安定型最終処分場で埋立可能」という記載が削除され、紙と石膏を分離した場合でも、硫化水素発生のおそれがあるため、廃石膏ボードを安定型最終処分場で処分することが禁止される。
  • 以後:再生利用する際は中間処理施設へ、埋立処分する際は管理型最終処分場へ搬出することになっています。

例えば、がれき類の破砕中に石膏ボードを投入すると、破砕残さに石膏ボード片が混入します。

その結果、コンクリートがらだけであれば再資源化できたものまで再資源化が困難となり、破砕残さ全体を管理型最終処分場で処分しなければならなくなります。

分別の徹底は、環境リスク対策であると同時に、産業廃棄物処分費にも直結する重要な行動です。

尾上雅典
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尾上雅典

行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント

廃棄物処理法、委託基準、処理委託契約、許可実務などを中心に、制度の構造と実務判断を整理しています。

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