| Q:産業廃棄物処理業の許可を受けている法人の役員が逮捕された時点で、その許可は即時に取り消される? A:逮捕された時点では、許可は取り消されない。 |
たしか欠格要件があって、悪いことをして捕まったら許可を取り上げないといけないんじゃないの?
たしかに廃棄物処理法では、欠格要件が設けられており、許可業者の役員等が欠格要件に該当した場合、許可は取り消されます。
しかし、逮捕された「時点」では、許可は取り消されません。産業廃棄物処理業の許可が取り消される欠格要件は、有罪判決が確定するなど、法律で定められた事由に該当した場合であり、逮捕や起訴の段階では該当しません。
許可が取り消されるのは「欠格要件」に該当したとき
産業廃棄物処理業者は、その役員等が欠格要件(廃棄物処理法第14条第5項第2号、第7条第5項第4号)に該当するに至った場合、その許可が取り消されます。これは行政庁の裁量ではなく、必ず取り消される義務的取消しです(同法第14条の3の2第1項)。
(許可の取消し)
廃棄物処理法第14条の3の2
都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
(以下略)
欠格要件の中でも、役員の逮捕・刑事事件と関係するのが、「拘禁刑以上の刑に処せられた者」という要件です。産業廃棄物処理業の許可取消し条文は、法第14条の3の2で規定されていますが、その準用条文が以下になります。
(一般廃棄物処理業)
廃棄物処理法第7条
一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
2~4 略
5 市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一~三 略
四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ~ロ 略
ハ 拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ここでいう「拘禁刑」とは、令和7年6月に施行された改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」を一本化したものです。改正前は「禁錮以上の刑」とされていました。
拘禁刑について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください→https://www.moj.go.jp/content/001453796.pdf
役員がどのような罪であっても、拘禁刑以上の刑に処せられれば、その法人の許可は取り消されることになります。
「刑に処せられ」とは
欠格要件が求めているのは「拘禁刑以上の刑に処せられ」た場合、すなわち有罪判決が確定した段階です。
刑事手続は、次のように段階を踏んで進みます。

逮捕 → 起訴 → 裁判 → 判決 → 確定
逮捕は、この手続の入口にすぎません。逮捕されただけでは有罪と決まったわけではなく、起訴されるか不起訴となるか、その後、有罪判決が言い渡されるか、さらにその判決が確定するかなど、いくつもの段階が残っています。したがって、逮捕された時点では欠格要件に該当せず、許可は取り消されません。
「罰金刑」でも欠格要件になる場合
今回のクイズは「拘禁刑以上」を前提としていますが、欠格要件には罰金刑でも該当してしまう類型があります。
廃棄物処理法、浄化槽法などの環境法令違反、暴力団関係の法令違反、一部の刑法犯(傷害罪・暴行罪・脅迫罪など)は、拘禁刑ではなく罰金刑であっても欠格要件に該当します。
この類型は、法人自身が罰金刑を受けた場合にも当てはまり得ます。たとえば、マニフェスト関係の違反などで法人が罰金刑を受けると、許可取消しにつながる可能性があります。「拘禁刑以上」と「特定の法令違反による罰金刑以上」という2つの類型がある点は、あわせて確認しておいてください。
まとめ
今回の記事のまとめは以下のとおりです。
・許可が取り消されるのは、役員等が欠格要件に該当したとき。
・「拘禁刑以上の刑に処せられ」とは、有罪判決が確定した段階を指す。逮捕された時点では該当しない。
・拘禁刑以外にも、環境法令違反・暴力団関係・一部の刑法犯は罰金刑でも欠格要件になる。
「役員が逮捕されたら許可はすぐ取り消される」と誤解されることがありますが、実際には逮捕だけでは欠格要件には該当しません。重要なのは、刑事手続がどの段階まで進んでいるのか、そして有罪判決が確定したかどうかです。ニュースの見出しだけで判断せず、法的な手続の進行状況を確認したうえで適切に対応することが重要です。
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