
Q. 事務所から発生する書類は、「産業廃棄物」であるか? A. 産業廃棄物ではない。「紙くず」は、業種限定があるため、一般的な事務所から発生する書類は【一般廃棄物】です。 |
まずは、廃棄物処理法における、「産業廃棄物」、「一般廃棄物」の定義を確認しましょう。
(定義)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
(中略)
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
この条文からもわかるとおり、「産業廃棄物」をいくつか(20種類)定義し、それ以外を「一般廃棄物」として定義しています。
よって、「産業廃棄物」の定義に合致しない廃棄物は、全て「一般廃棄物」に該当するわけです。

それでは、今回の問題にあった「紙くず」がなぜ産業廃棄物ではないかの確認をしましょう。
「紙くず」は政令に記載のある廃棄物になります。そして、「紙くず」には、カッコ書きがあります。
(産業廃棄物)
第二条 法第二条第四項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。一 紙くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る。)、出版業(印刷出版を行うものに限る。)、製本業及び印刷物加工業に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだものに限る。)
(以下、略)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)
このカッコ書きが今回のポイントになる部分で、カッコ書きには「~に限る。」と記載があります。
この記載を業種限定といい、ある業種から排出される「紙くず」のみを産業廃棄物としております。
・建設業
・パルプ、紙又は紙加工品の製造業
・新聞業
・出版業、製本業
・印刷物加工業
・ポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだもの
これら業種から排出される「紙くず」は、産業廃棄物に該当しますが、それ以外の業種から排出される場合は、一般廃棄物となります。
よって、事務所から排出される一般的な書類などの廃棄物は、一般廃棄物に該当するわけです。
企業として事業活動を行うと排出する廃棄物は、全て産業廃棄物だという間違った認識を持ちがちです。
「紙くず」以外にも以下の産業廃棄物は、同様に業種限定があります。
・木くず
・繊維くず
・動植物性残さ
・動物系固形不要物
・動物のふん尿
・動物の死体
一般廃棄物と産業廃棄物の判断はとても重要です。
一般廃棄物を産業廃棄物として一般廃棄物処理業の許可を有しない事業者に委託していた場合、排出事業者は委託基準違反に問われる可能性があります。
これを機会に貴社の廃棄物の委託先などを見直してみてはいかがでしょうか。