排出事業者は、収集運搬業者・中間処理業者に加えて、中間処理後の最終処分を行う業者とも直接、委託契約書を締結しなければならない?
橋本啓太
この記事の執筆者
橋本啓太
行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q:排出事業者は、収集運搬業者・中間処理業者に加えて、中間処理後の最終処分を行う業者とも直接、委託契約書を締結しなければならない?

A:排出事業者は、最終処分の委託契約締結は不要である。
疑問

排出事業者は、排出から処分されるまで全てにおいて責任を持つんじゃないの?

廃棄物処理法では、排出事業者責任の考え方のもと、排出事業者は発生から最終処分が終了するまで適正処理を確保するために必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。

委託契約は、原則として書面で締結しなければならず、「収集運搬業者」と「処分業者」とそれぞれ締結する必要があることはすでにご存じかと思います。では、委託した中間処理業者が、処理後に残った廃棄物(中間処理残さ)を別の業者に最終処分させる場合、排出事業者はその最終処分業者とも契約を結ぶ必要があるのでしょうか。

結論から言うと、排出事業者が直接、委託契約書を締結しなければならない相手は「一次委託先」までとなり、中間処理後の最終処分業者と排出事業者が直接契約を結ぶ必要は原則ありません。

それでは、誰が委託契約を締結する義務があるのでしょうか。今回も根拠条文を確認していきます。

なぜ最終処分業者と直接契約しなくてよいのか

ポイントは、委託基準を定めた条文の「かっこ書き」にあります。

(事業者の処理)
廃棄物処理法第12条
5 事業者(中間処理業者を含む。次項及び第7項並びに次条第5項から第7項までにおいて同じ。)は、その産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除くものとし、中間処理産業廃棄物を含む。次項及び第七項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については(略)産業廃棄物収集運搬業者(略)に、その処分については(略)産業廃棄物処分業者(略)にそれぞれ委託しなければならない。

条文中の「事業者」には、かっこ書きのとおり中間処理業者が含まれます。そして委託の対象となる「産業廃棄物」には中間処理後の産業廃棄物(中間処理残さ)が含まれます

つまり、中間処理後に生じた残さを最終処分場で処分するには、その中間処理を行った中間処理業者自身が「排出事業者」の立場で最終処分業者と委託契約を締結するということになっています。処理が一段進むごとに、排出事業者としての契約義務は次の担い手(中間処理業者)へ移ります。したがって、最初の排出事業者が最終処分業者と直接契約を結ぶ必要は原則としてありません。

ただし「最終処分の情報」は契約書に書く必要がある

中間処理後の廃棄物については、排出事業者が委託契約書を締結する必要はありません。ただし、最終処分に関する情報は、排出事業者と中間処理業者の委託契約書に記載しなければなりません

(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
廃棄物処理法施行令第6条の2
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
(略)
 ホ 産業廃棄物の処分(最終処分を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力

中間処理(=最終処分を除く処分)を委託するときは、契約相手ではない最終処分先の所在地・方法・処理能力まで契約書に書き込む必要があります。通常、産業廃棄物は選別や破砕などの中間処理を経て最終処分されます。よって、排出事業者が委託する相手が最終処分業者でない限り、委託契約書には最終処分に関する情報が必要となります。

排出事業者にとっては、自社が直接契約する相手ではないため、最終処分先の情報は見落とされがちです。もし、委託契約書に最終処分先の情報の記載がなければ委託基準違反となるので、注意が必要です。

実務上の注意点

(1)直接契約は不要でも「確認」の責任は残る

排出事業者には、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるよう、必要な措置を講ずる努力義務があります。

(事業者の処理)
廃棄物処理法第12条
7 事業者は、(略)その産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

努力義務ではありますが、万が一、自社の排出した廃棄物が不適正処理・不法投棄に巻き込まれ、確認を怠っていた場合には、措置命令の対象となるかどうかを判断する際の事情として考慮される可能性があります。

(2)最終処分の完了はマニフェストで確認する

最終処分業者と契約を結ばない代わりに、最終処分が終わったことはマニフェスト(E票)の返送で確認します。中間処理業者は自らが交付した二次マニフェストで最終処分の終了を確認し、その情報が一次マニフェストのE票として排出事業者にも戻ってくる仕組みです。以下にマニフェストの交付イメージを示します。

マニフェストの交付イラスト

(3)中間処理業者側は「排出事業者」として動く

中間処理業者として残さを最終処分業者へ委託する場合は、自社が排出事業者となって最終処分業者と委託契約を締結し、マニフェストを交付する義務が生じます。処理業者側も排出する廃棄物によっては、排出事業者としての処理責任が生じることを意識しておく必要があります。

(4)最終処分先が変わったら契約書も見直す

中間処理業者が使う最終処分先が変更・追加された場合、(1)で述べた契約書の記載も実態と合わせて見直す必要があります。締結時点では正しくても、時間の経過で処分先が変わっている契約書は珍しくありません。定期的な内容点検の対象に加えておくと安心です。

まとめ

排出事業者が直接、委託契約書を締結する義務があるのは一次委託先までです。中間処理後の最終処分業者とは、中間処理業者が排出事業者として契約を結びます。

ただし、中間処理を委託する契約書には最終処分の場所・方法・処理能力を記載する義務があること、そして最終処分終了までの確認責任は排出事業者にあります。この2点を正しく理解しておくことが、委託基準を遵守し、排出事業者責任を果たすうえで重要です。

橋本啓太
この記事の著者

橋本啓太

行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー

マニフェスト、委託契約、現場運用、社内実務フローなどを中心に、実務に落とし込む視点から論点を整理しています。

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