産業廃棄物管理表(マニフェスト)に正確に重量を記載する必要があるかのイメージ図
橋本啓太
この記事の執筆者
橋本啓太
行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q:産業廃棄物管理票(マニフェスト)の「数量」欄は、引き渡し時に正確な重量を記載しなければならない?

A:マニフェストの「数量」欄には、重量に限らず委託する産業廃棄物の重量、体積、個数などを記載すればよい。
疑問

正確な重量を記載しないと委託料金をちゃんと把握できないじゃない?

「マニフェストの数量欄には、正確な重量を書かなければならないのでは?」と思い込んでいる担当者の方は少なくありません。

しかし実際には、引き渡し時点で計量設備を持たない排出事業者がほとんどであり、正確な重量を引き渡しの瞬間に記載することは、多くの現場で不可能です。

では、法律はどのように定めているのでしょうか。今回も条文と環境省通知に基づいて整理します。

「数量」は排出事業者が記載すべき法定記載事項

まず前提として、マニフェストの「数量」欄は排出事業者が記載しなければならない法定記載事項です。

根拠は廃棄物処理法第12条の3第1項です。

(産業廃棄物管理票)
廃棄物処理法第12条の3
 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称、その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票を交付しなければならない。

まず、「引渡しと同時に」というのがポイントです。マニフェストは産業廃棄物を引き渡すタイミングで交付するものであるため、その時点で必要事項が記載されていなければなりません。

また、排出事業者が産業廃棄物管理票(マニフェスト)に記載しなければならない法定記載事項は、条文の太字で示した以下4項目です。

1.委託する産業廃棄物の種類
2.数量
3.処理を受託した者の氏名又は名称
4.その他環境省令で定める事項

ただし、「その他環境省令で定める事項」は、「廃棄物処理法施行規則第8条の21」で、「産業廃棄物の荷姿」等、さらに細かく規定されています。

なお、「数量」欄を含む排出事業者の法定記載事項は、いずれも引き渡し時に排出事業者が記載するものです。
「中間処理業者が記載する欄だ」という誤解が現場で生じやすい項目ですが、そのような規定は存在しません。この点については、前回のクイズで解説した以下記事で詳しく解説しています。

【関連記事】
マニフェストの「数量」欄は中間処理業者が記載する内容なので、排出事業者が記入してはいけない?

「数量」の単位は重量に限定されない──環境省通知の明確な解釈

法律の条文は「数量」とのみ定めており、「重量」とは書かれていません。この点について、環境省は通知で明確な解釈を示しています。

産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)(環廃産発第110317001号 平成23年3月17日)
第1 産業廃棄物管理票
2.管理票の交付
(2)記載事項
 ② 「数量」の記載は、重量、体積、個数などその単位系は限定されないこと。

これが公式の解釈です。つまり、以下のような記載はいずれも適法です。

記載例単位
2t重量
3㎥(推定容積)体積
ドラム缶2本個数
45Lポリ袋10袋個数・容量

計量設備がない排出事業者が目視で「3㎥」や「ドラム缶1本」と記載することは、法律上まったく問題ありません。引き渡す廃棄物の「数」や「量」を特定できる記載であれば足ります。

中間処理の「計量結果」をA票に転記する義務はない

中間処理終了後、処分業者から正確な計量結果が備考欄に記載されたD票と一緒にが送付されてきます。
この検量結果は、処分業者が処分量を把握するために記載したものです。その結果を、A票の「数量」欄にわざわざ上書きする必要はありません。

マニフェストA票の「数量」欄はあくまで引き渡し時点の記載事項です。後から判明した正確な重量を上書きする義務を定めた規定は存在しません。

実務上は、送付されてきたD票に加え、A票、B2票、その後に送付されるE票とともに5年間保存しましょう。紙マニフェストの保存は法的義務ですので、そちらの方が重要です。

「重量しか書いてはいけない」は誤り

現場では「重量しか書いてはいけないから、処分業者が計量してから記載する欄だ」という誤った認識が広まることがあります。

しかし、これは二重に誤りです。

第一に、「重量しか記載できない」という根拠は法律にも通知にも存在しません。前述のとおり、単位系は限定されていません。

第二に、「数量」欄は排出事業者が引き渡し時に記載すべき法定記載事項です。処分業者が記載する欄ではありません。

この欄の記載を怠った場合、排出事業者がマニフェストの法定記載事項の不備として、廃棄物処理法第12条の3第1項違反となる可能性があります。

電子マニフェストの場合

電子マニフェストを利用する場合も、考え方は紙マニフェストと同様です。

先ほどの環境省通知では、電子情報処理組織を使用する際の登録・報告に係る内容および手続きについて、紙マニフェストの規定に準拠するとされています。

産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)(環廃産発第110317001号 平成23年3月17日)
第2 電子情報処理組織の使用
 2.電子情報処理組織を使用する際の登録手続等
 (1)電子情報処理組織を使用する際の登録及び報告に係る内容及び手続は、第1の2、3及び5に記載した事項に準拠されたいこと。

数量欄への記載ルールはそのまま電子マニフェストにも適用されます。
なお、電子マニフェストでは産業廃棄物を引き渡した後3日以内に情報処理センターへの登録が必要であり、この期間を超えると管理票の不交付と判断される点にも留意が必要です。

まとめ

マニフェストの「数量」欄について、整理すると以下のとおりです。

・「数量」は排出事業者が引き渡し時に記載すべき法定記載事項(法第12条の3第1項)
・単位系は重量・体積・個数など限定なし(環廃産発第110317001号通知)
・計量設備がない現場では「目視推定の体積」「個数」での記載も適法
・中間処理の計量結果をA票の「数量」欄に上書きする必要はない
・「重量しか書けない=処分業者が記載する欄」という認識は誤り

マニフェスト制度は、適正処理の確認という重要な目的を持つ制度です。引き渡し時点で把握できる合理的な方法で「数量」を記載し、確実に運用していきましょう。

関連通知

産業廃棄物管理票制度の運用について(通知)

橋本啓太
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橋本啓太

行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー

マニフェスト、委託契約、現場運用、社内実務フローなどを中心に、実務に落とし込む視点から論点を整理しています。

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