更新審査中に許可の有効期限を過ぎた許可証とカレンダーのイメージイラスト
橋本啓太
この記事の執筆者
橋本啓太
行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q:産業廃棄物処理業の更新申請中に許可の有効期間が満了した場合、更新の許可が下りるまでは無許可営業となるため、事業を止めなければならない?

A:更新期限までに申請をすれば、従前の許可が効力を有するため、事業を止める必要はない。
疑問

更新までに申請をしたのに許可証ができあがらないなんてことがあるの?

「更新申請は出したのに、有効期限の日が近づいてきても許可証が届かない」
更新のたびに冷や汗をかいた経験のある事業者の方は、少なくないと思います。取引先から「御社の許可証、期限が切れていますよね」と指摘されて慌てる、というご経験があるのではないでしょうか。

結論からお伝えしますと、期限内に更新申請を提出していれば、審査中に有効期間が満了しても事業を止める必要はありません。今回も条文の根拠を確認していきましょう。

更新しなければ許可は失効する

産業廃棄物処理業の許可には、期限があり、その期限までに更新を受けなければなりません。
収集運搬業における根拠条文が以下になります。

(産業廃棄物処理業)
廃棄物処理法第14条
2 前項の許可は、5年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

原則、産業廃棄物関係の許可は5年になっています。許可を取得してから5年後に許可期限を迎え、このタイミングで更新をしないと許可が失効します。
期限までに更新をしないと、許可が失効するわけですから、その後は無許可営業となってしまいます。無許可営業は、廃棄物処理法で最も重い罰則(5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれらの併科)の対象ですから、事業者としては当然に不安になるところです。

それでは、更新申請をしたが許可証が発行されていない場合はどうなるのでしょうか。

審査中は従前の許可が効力を有する

更新申請から許可証発行までの間の根拠条文は先ほどの条文の次の項にあります。

廃棄物処理法第14条
3 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

期限内に更新申請を行っていれば、審査が長引いて有効期間が満了しても、許可の効力は途切れません。したがって、この間も事業を継続できますし、排出事業者側から見ても、無許可業者への委託にはあたりません。

同じ内容の規定が、業の種類ごとに置かれています。

  • 産業廃棄物収集運搬業:法第14条第3項
  • 産業廃棄物処分業:法第14条第8項
  • 特別管理産業廃棄物収集運搬業:法第14条の4第3項
  • 特別管理産業廃棄物処分業:法第14条の4第8項

注意していただきたいのは、この規定の前提は「有効期間の満了の日までに更新申請があったこと」だという点です。満了日を1日でも過ぎてから申請した場合は、この規定の対象外です。その時点で許可は失効しており、新規の許可申請をやり直すことになります。うっかり失念していた、というケースでの救済規定ではありません。

なぜこの規定があるのか

この規定は、もともと廃棄物処理法にあったものではなく、平成15年の法改正で設けられたものです。

背景にあるのは、欠格要件の強化です。不適正な事業者を事前に排除するために欠格要件が厳しくなった結果、審査に要する時間が長期化する傾向が生じました。法令を守って期限内に申請している事業者が、行政側の審査期間の長さによって事業を止めざるを得なくなるのは変な話です。そこで、審査中は従前の許可の効力を維持することとされたものです。

つまり、この規定は「行政の審査が長くかかることを、法律があらかじめ織り込んでいる」ことの裏返しでもあります。この点は、次の実務上の注意点にもつながります。

新しい有効期間の起算日

審査中も許可が有効なのであれば、新しい許可の5年間は「更新の許可が下りた日」から始まるのでしょうか。

廃棄物処理法第14条
4 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

新しい有効期間は、従前の有効期間の満了日の翌日から起算します。審査に2か月かかったとしても、その2か月分が上乗せされるわけではありません。

具体例で考えてみます。

  • 従前の許可の有効期限:令和8年3月31日
  • 更新申請:令和8年3月20日(期限内)
  • 更新許可の日:令和8年4月20日(審査に時間を要した)
  • 新しい有効期限:令和13年3月31日(令和8年4月1日から起算して5年)

許可証を見たときに、「許可の年月日」が令和8年4月20日と書かれているのに「許可の有効年月日」が令和13年3月31日となっていて、5年に満たないように見える。この見え方の理由がここにあります。

許可証の書き方についても、環境省の通知に明記があります。みなし期間が働いている状態で更新の許可を行う場合、「許可の年月日」の欄には実際に更新の許可を行う日を記載し、「許可の有効年月日」の欄には従前の許可の有効期限の満了日の翌日から起算して5年以内の日を記載する、という扱いです。

この仕組みを知らないまま「今回は5月に許可が出たから、次は5年後の5月だな」と把握してしまうと、次回の更新申請が約2か月遅れます。そして今度は、期限内申請を失念するという事態になりかねません。

排出事業者側の実務:許可証が期限切れ?

許可証の発行が遅れると排出事業者の立場では、委託契約書に添付されている許可証の写しの有効期限が過ぎているのに、新しい許可証が送られてこない、という状況になります。

まず確認すべきこと

確認すべきなのは、「期限が切れているかどうか」ではなく、「有効期間の満了日までに更新申請がされているかどうか」です。ここが満たされていれば法第14条第3項で許可は有効であり、満たされていなければ失効しています。見た目は同じ「期限切れの許可証」でも、意味がまったく違います。

許可証の発行が遅れている場合、排出事業者は委託先に対して、更新期限内に提出した申請書の写し(役所の受理印が押印されているもの)を取得する方法が実務ではよくとられています。

新しい許可証が届いたら

更新後の許可証の写しは、改めて取り寄せて保管しておくことになります。委託契約書に添付する許可証の写しの扱いについては、別記事でも触れていますので、あわせてご覧ください。

まとめ

  • 有効期間の満了日までに更新申請をしていれば、審査中に期限が来ても従前の許可は効力を有する(法第14条第3項・第8項、法第14条の4第3項・第8項)
  • 満了日を過ぎてからの申請は対象外。その時点で失効しており、新規申請のやり直しになる
  • 新しい有効期間は従前の満了日の翌日から起算する(同条第4項・第9項)。許可の日から5年ではない
  • 次回の更新管理は「許可の年月日」ではなく「許可の有効年月日」を基準に

更新の時期や必要書類、審査に要する期間の目安は自治体によって運用が異なります。個別の案件については、管轄の自治体または専門家にご確認ください。

関連記事:委託契約書に添付する許可証の写しについて/無許可業者への委託と排出事業者の責任/産業廃棄物処理業の許可は譲渡・承継できる?

橋本啓太
この記事の著者

橋本啓太

行政書士 / 廃棄物実務・運用アドバイザー

マニフェスト、委託契約、現場運用、社内実務フローなどを中心に、実務に落とし込む視点から論点を整理しています。

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