| Q:業務用のエアコンや冷蔵庫に含まれる気体状のフロン類は、廃棄物処理法上の産業廃棄物として扱われる? A:気体状の廃棄物は、廃棄物処理法上の廃棄物に該当しない。 |
エアコンや冷蔵庫を廃棄するとき、中に入っている冷媒のフロンガスも、機器と一緒に産業廃棄物として処理すればいいんじゃないの?
廃棄物処理法では、気体状のフロン類は「廃棄物」に当たらないため、産業廃棄物として処理する対象ではありません。フロン類の取扱いは廃棄物処理法ではなく、別の法律で規制されています。順に整理していきます。
そもそも「廃棄物」は固形状又は液状のものに限られる
廃棄物処理法上の「廃棄物」の定義は、第2条第1項に次のとおり定められています。
(定義)
廃棄物処理法第2条
この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
定義の後半に「固形状又は液状のもの」と記載されているため、「気体状のもの」は廃棄物に含まれません。したがって、気体状であるフロン類は、そもそも廃棄物処理法の「廃棄物」ではなく、当然に産業廃棄物にも該当しないということになります。
実はこの内容については、以前出題したクイズでも詳しく解説しております。
2024年12月6日付「「廃棄物」の定義は、ごみ等の汚物または不要物であって固形状、液状、気体状のものである?」
気体状のフロン類は「フロン排出抑制法」で規制される
それでは、フロン類は何の規制もないかというと、そうではありません。気体状のフロン類は、機器の種類に応じて次の法律で規制されています。
- 業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器(冷媒にフロン類を使用しているもの)→ フロン排出抑制法(フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)
- 家庭用のエアコン・冷蔵庫 → 家電リサイクル法
- カーエアコン(自動車) → 自動車リサイクル法
このうち、クイズにある「業務用のエアコンや冷蔵庫」は、冷媒にフロン類が使われているものであれば、フロン排出抑制法上の「第一種特定製品」に当たります。第一種特定製品の管理者(所有者)は、機器を廃棄する際、あらかじめ機器からフロン類を回収しておかなければなりません。
そして、このフロン類の回収を行えるのは、都道府県知事の登録を受けた第一種フロン類充塡回収業者に限られます。産業廃棄物処理業者やスクラップ業者が、勝手に大気へ放出することは認められていません。フロン類をみだりに放出した場合は、直罰(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)の対象です。
実務上の落とし穴 ― 機器本体は「産業廃棄物」になる
ここで混同しやすいのが、「気体状のフロン類」と「機器本体」を区別するという点です。
- 気体状のフロン類(冷媒)→ 廃棄物ではない。フロン排出抑制法に基づき第一種フロン類充塡回収業者が回収。
- フロンを抜いた後のエアコン・冷蔵庫本体(固形物)→ 事業活動に伴い排出されれば、金属くず・廃プラスチック類などの混合物として産業廃棄物に該当。
つまり、同じ一台の機器でも、中の冷媒(気体)はフロン排出抑制法、外側の機器本体(固形物)は廃棄物処理法と、別々のルートで処理されることになります。
さらに実務で重要なのが、両者の順番と書面管理です。産業廃棄物処理業者・リサイクル業者は、フロン排出抑制法においてフロン類が回収されたことを引取証明書等で確認できない限り、業務用エアコン・冷凍冷蔵機器を引き取ってはならないとされています。(フロン排出抑制法法第45条の2第4項)フロンの回収を確認せずに機器を引き取ると、産廃業者側が罰則を受ける立場になるため、注意が必要です。
また、フロン類の引渡しの流れは、産業廃棄物のマニフェスト(産業廃棄物管理票)とは別の書面である「行程管理票」(回収依頼書・委託確認書・引取証明書 等)で管理します。マニフェストと行程管理票は制度が異なりますので、混同しないようにしましょう。
なお、回収され容器に充塡されたフロン類も、産業廃棄物としてマニフェストで流すのではなく、フロン排出抑制法に基づき第一種フロン類再生業者・フロン類破壊業者へ引き渡され、再生・破壊されるルートをたどります。
まとめ
- 廃棄物処理法の「廃棄物」は固形状又は液状のものに限られ、気体状のフロン類は廃棄物・産業廃棄物に該当しない。
- 業務用エアコン・冷凍冷蔵機器の冷媒フロン類はフロン排出抑制法で規制され、第一種フロン類充塡回収業者のみが回収できる。
- フロンを抜いた後の機器本体は固形物なので産業廃棄物になる。
- 産廃業者はフロン回収済みの確認(引取証明書等)ができなければ機器を引き取れない。書面はマニフェストとは別の行程管理票で管理する。
今回のクイズは、廃棄物処理法に加えフロン排出抑制も関係することがお分かりになったでしょうか。
「気体だから廃棄物ではない」という定義の理解が、そのまま実務の処理ルートの振り分けに直結する、良い例といえます。
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