| Q:無許可業者に産業廃棄物処理を委託した排出事業者は刑事罰の対象になる? A:A:無許可業者に産業廃棄物処理を委託した排出事業者は、「5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、またはこの併科」の対象になります。 |
不法投棄をされなかった場合でも、排出事業者の犯罪になるの?
「回収された産業廃棄物の処理は、それを受けた業者側の責任では?」と考える排出事業者は少なくありません。
しかし廃棄物処理法は、無許可業者への委託という委託基準違反を、不法投棄と同じ第25条の重罰規定の対象としています。
今回は、条文の構造を整理しながら、排出事業者が問われる責任の重さを解説します。
委託基準とは何か
産業廃棄物の処理を他者に委託する場合、排出事業者は法第12条第5項に定める委託基準を守らなければなりません。
(事業者の処理) 廃棄物処理法第12条
5 事業者(中略)は、その産業廃棄物(中略)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
この条文が意味するのは、有効な許可を持つ業者にのみ委託しなければならないという義務です。
無許可業者への委託は委託基準違反となり、刑事罰の対象となります。
無許可業者への委託に適用される罰則
無許可業者への委託(法第12条第5項違反)に対する罰則は、廃棄物処理法第25条第1項第六号に規定されています。
廃棄物処理法第25条
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の拘禁刑若しくは1千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
六 第6条の2第6項、第12条第5項又は第12条の2第5項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
5年以下の拘禁刑または1千万円以下の罰金、あるいはその併科という刑罰の対象となります。
これは無許可で廃棄物処理業を営む者(第25条第1項第一号)と同じ条文・同じ法定刑です。
「委託した側」と「無許可で営業した側」が同等の重罰対象とされていることに、この法律の「排出者責任」という考え方が端的に表れています。
委託基準違反でも罰則が異なるケース
なお、委託基準違反であっても、違反の態様によって適用される条文と罰則が異なります。
| 違反の態様 | 根拠条文 | 法定刑 |
|---|---|---|
| 無許可業者に委託(法第12条第5項違反) | 第25条第1項第六号 | 5年以下の拘禁刑または1千万円以下の罰金 |
| 委託契約書を作成せずに委託(法第12条第6項違反) | 第26条第一号 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 |
どちらも重大な違反であることに変わりはありませんが、無許可業者への委託は一段重い類型として位置づけられています。
法人への罰則──両罰規定
法人の担当者が委託基準違反を行った場合、その担当者個人が罰則を受けるだけでなく、法第32条の両罰規定により法人(会社)にも罰金刑が科されます。
第25条違反に対する法人への罰金の上限は3億円です(法第32条第1項第一号)。
「知らなかった」は免責されない
実務上よくある事例として、「許可証の写しを受け取っていたが、実は許可が失効していた」「委託する廃棄物の品目が許可証の対象外だった」というケースがあります。
廃棄物処理法は、委託前に排出事業者が適切に確認する義務を実質的に課しており、確認が不十分だったことは法律上の免責事由になりません。
実務上の確認ポイント
委託基準違反を防ぐため、委託前に以下を必ず確認してください。
- 許可証の有効期限(収集運搬業許可の有効期間は5年)
- 許可権限者(委託する都道府県・政令市の許可か)
- 許可品目(委託する廃棄物の種類が記載されているか)
- 積替保管の要否(中継保管が伴う場合は積替保管の許可が必要)
許可の有効性は、各都道府県・政令市が公開している産業廃棄物処理業者検索システムでも確認できます。
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