アスベスト解体
Q:石綿含有産業廃棄物は、運搬効率を上げるため解体現場で細かく破砕してから運搬しても良い?
A:破砕せずに運搬する必要がある。
唖然

アスベスト廃棄物も細かくして容量を少なくした方が運搬効率が上がるから破砕して運搬した方がいいよね?

解体現場などで発生する解体廃棄物は、比較的大きい廃棄物が多く、運搬効率の観点から重機などで細かくしてから運搬することがあります。

しかし、石綿含有産業廃棄物は、処理基準によって「破砕が禁止」されています。

(産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準)
第6条 法第12条第1項の規定による産業廃棄物の収集、運搬及び処分の基準は、次のとおりとする。
一 産業廃棄物の収集又は運搬に当たつては、第三条第一号イからニまでの規定の例によるほか、次によること。
 (中略)
 ロ 石綿が含まれている産業廃棄物であつて環境省令で定めるもの(以下「石綿含有産業廃棄物」という。)又は水銀若しくはその化合物が使用されている製品が産業廃棄物となつたものであつて環境省令で定めるもの(以下この項において「水銀使用製品産業廃棄物」という。)の収集又は運搬を行う場合には、第3条第1号ホの規定の例によること。
(以下、略)

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)

(一般廃棄物の収集、運搬、処分等の基準)
第3条 法第6条の2第2項の規定による一般廃棄物の収集、運搬及び処分の基準は、次のとおりとする。
一 一般廃棄物の収集又は運搬に当たつては、次によること。
イ 収集又は運搬は、次のように行うこと。
 (1)一般廃棄物が飛散し、及び流出しないようにすること。
 (2)収集又は運搬に伴う悪臭、騒音又は振動によつて生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講ずること。
(中略)
ホ 石綿が含まれている一般廃棄物であつて環境省令で定めるもの(以下「石綿含有一般廃棄物」という。)の収集又は運搬を行う場合には、石綿含有一般廃棄物が、破砕することのないような方法により、かつ、その他の物と混合するおそれのないように他の物と区分して、収集し、又は運搬すること。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)

石綿含有産業廃棄物も同様に細かく破砕した上で、フレコン等に投入し、運搬するほうがいいようにも思いますが、なぜ破砕して運搬することを禁じられているのでしょうか。

それは、石綿(アスベスト)の性状を知ることで理解することができます。

以下に代表的な石綿(アスベスト)の写真を掲載します。

石綿(アスベスト)は、ヒトの髪の毛の直径よりも非常に細く、極めて細い繊維からなっています。そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されてヒトの肺胞に沈着しやすい特徴があります。
吸い込んだ石綿の一部は異物として痰の中に混ざり体外へ排出されます。しかし、石綿繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留することになります。
この体内に滞留した石綿が要因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。

さらに、石綿含有産業廃棄物の例を見てみましょう。

石綿含有産業廃棄物は、主に建材に石綿(アスベスト)を練りこんで製造されています。
そのため、石綿含有産業廃棄物を破砕するとアスベストが空気中に飛散することになってしまいます。

また、石綿含有産業廃棄物の破砕禁止の規定に関しては、廃棄物処理法だけでなく都道府県の独自条例に規定されている場合もありますので、注意が必要です。

いずれにせよ、アスベストの危険性を十分に認識したうえで取り扱う必要があることに変わりありません。

自分の身を守るためにも廃棄物ごとの危険性を認識した上で取り扱うようにしましょう!

アスベスト廃棄物についてもっと詳しく知りたい方は、私のブログの以下記事をご確認ください。

【業務歴8年】産業廃棄物のアスベスト(石綿)廃棄物とは?元公務員が徹底解説!