| Q:個人事業者の鍼灸院から排出された針は、少量であれば一般廃棄物として処理できる? A:事業活動で発生した産業廃棄物の「金属くず」に該当します。 |
個人事業者は、地域住民として一般廃棄物を発生させる主体でもあるため、少量の金属くずであれば、生活系一般廃棄物として処理しても実害は無いのでは?
鍼灸院から排出される使用済みの鍼は、その量にかかわらず一般廃棄物ではなく、産業廃棄物に区分されます。
使用済みの鍼は、鍼灸施術という事業活動に伴って発生し、かつステンレス等の金属でできているため、産業廃棄物の「金属くず」に該当します(施行令第2条第六号)。
なお、鍼灸院は「医療関係機関等」には該当しないため、「鍼灸院の使用済みの針」は特別管理産業廃棄物となる「感染性産業廃棄物」ではありません。
ただし、針刺し事故の危険性等の理由から、業界団体や一部の市町村は、「感染性産業廃棄物には該当しないが、専用の回収容器に入れ、感染性廃棄物に準じた処理委託」を推奨しています。
判断の流れ
まず、産業廃棄物かどうかを確定させる
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)における産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、政令で定める20種類に該当するものをいいます(法第2条第4項)。
一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいいます(法第2条第2項)。
ある廃棄物が一般廃棄物か産業廃棄物かを判断する最初のステップは、「事業活動に伴って生じたもの」を確認した上で、「産業廃棄物の20種類のいずれに該当するか」を検討することです。
産業廃棄物の20種類のうち、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、燃えがら、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、鉱さい、ばいじん、がれき類の12種類は、業種や発生量の多寡を問わず、事業活動から生じた場合は産業廃棄物に該当します。
金属くずはこのうちの一つであり、施行令第2条第六号に規定されています。
使用済みの鍼は、その大部分がステンレス等の金属でできています。
鍼灸施術という事業活動に伴って生じ、かつ金属を主成分とする不要物である以上、使用済みの鍼は金属くずとして産業廃棄物に該当します。
次に、特別管理産業廃棄物(感染性産業廃棄物)に当たるかを確定させる
産業廃棄物に該当することが確定した後、次に検討すべきは「その産業廃棄物が特別管理産業廃棄物に当たるかどうか」という、別の問いです。
産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性など人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある性状を持つものは「特別管理産業廃棄物」として区分されます(法第2条第5項)。
感染性を理由とする特別管理産業廃棄物は「感染性産業廃棄物」と呼ばれ、施行令第2条の4第四号において、性状要件に加えて「医療関係機関等」から排出されたものであることが要件とされています。
医療関係機関等の範囲は、施行令別表第1の4の項及び施行規則第1条第7項に列挙されており、病院、診療所、衛生検査所、介護老人保健施設、介護医療院、助産所、動物の診療施設、大学及び試験研究機関(医学、歯学、薬学、獣医学に係るものに限る)がこれに当たります。
このうち「診療所」は医療法上の用語であり、医師又は歯科医師が公衆又は特定多数人のために医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものと定義されています(医療法第1条の5第2項)。
鍼灸院を開設し施術を行うのは、はり師・きゅう師であって、医師又は歯科医師ではありません。
したがって、鍼灸院は医療法上の診療所に該当せず、廃棄物処理法施行令別表第1で定める医療関係機関等のいずれにも該当しません。
そのため、鍼灸院から排出された使用済み鍼は、特別管理産業廃棄物としての「感染性産業廃棄物」には該当しません。
まとめ
鍼灸院の使用済みの鍼は、量の多寡にかかわらず、一般廃棄物ではなく産業廃棄物(金属くず)に区分されます。
これは、鍼が鍼灸施術という事業活動に伴って発生し、かつ金属でできているためです。
医療関係機関等かどうかは、その後に続く「特別管理産業廃棄物としての感染性産業廃棄物に当たるか」という別の問いのみに関係し、鍼灸院はこれに該当しないため、感染性産業廃棄物には該当しません。
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