行政書士の橋本です。
廃棄物実務クエストの記念すべき第1問について解説いたします。
質問内容と回答は以下のとおりです。
Q.自社から発生した産業廃棄物の置場に掲示板を設置する必要がある。 A. 〇(掲示板設置の必要がある。) |
産業廃棄物を排出するほとんどの企業は、産業廃棄物処理業者にその処理を委託していると思います。
委託業者が廃棄物を取りに来てくれるまでの間、その廃棄物は廃棄物置場に保管するはずです。
それでは、自分で出した産業廃棄物の保管する際のルール(基準)は法律のどこに規定されているのでしょうか。
【廃棄物処理法】 (事業者の処理) 第十二条 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第五項から第七項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。 2 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。 (以下略) |
廃棄物処理法第12条に「事業者の処理」について記載されています。
その第2項には、産業廃棄物が運搬されるまでの間の保管基準を定めており、細かいことは環境省令で定めています。
それでは、その環境省令を詳しく見てみましょう。
【廃棄物処理法施行規則】 (産業廃棄物保管基準) 第八条 法第十二条第二項の規定による産業廃棄物保管基準は、次のとおりとする。 一 保管は、次に掲げる要件を満たす場所で行うこと。 イ 周囲に囲い(保管する産業廃棄物の荷重が直接当該囲いにかかる構造である場合にあつては、当該荷重に対して構造耐力上安全であるものに限る。)が設けられていること。 ロ 見やすい箇所に次に掲げる要件を備えた掲示板が設けられていること。 (1) 縦及び横それぞれ六十センチメートル以上であること。 (2) 次に掲げる事項を表示したものであること。 (イ) 産業廃棄物の保管の場所である旨 (ロ) 保管する産業廃棄物の種類(当該産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨を含む。) (ハ) 保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先 (ニ) 屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあつては、次号ロに規定する高さのうち最高のもの |
廃棄物処理法施行規則第8条に、法第12条第2項の保管基準が定められています。
その中に、「掲示板が設けられていること。」との記載があるため、事業者は、産業廃棄物が運搬されるまでの間、産業廃棄物を保管する場合は、掲示板の設置が必要ということになります。
この掲示板について、さらに深堀りしていきますと以下が必要と分かります。
・見やすい箇所に掲示
・縦横それぞれ60センチ以上
・産業廃棄物の保管場所である旨を記載
・保管する産業廃棄物の種類を記載
・保管場所の管理者氏名又は名称と連絡先を記載
・屋外保管で容器を用いない場合は、保管する高さを記載
文字ではわかりづらいと思いますので、掲示板の例を図で示します。
掲示板のサイズは規定されていますが、材質等の定めはありませんので、自作の掲示板でも構いません。
ただし、「見やすい箇所」に掲示する必要がありますので、保管場所となる倉庫の入口や事務所の入口に掲示することが望ましいと考えます。
「保管基準」は、許可業者だけでなく、排出事業者自身にも適用されますので、自社の産業廃棄物置場に掲示板が設置されているか確認してはいかがでしょうか。