Q:街路樹の剪定によって発生した剪定くずは、産業廃棄物の「木くず」に該当する?
A:産業廃棄物の「木くず」ではなく、「(事業系)一般廃棄物」に該当します。
事業者が「樹木剪定」というれっきとした「事業活動」に勤しみ、その結果発生した「木の一部である剪定くず」が産業廃棄物に該当しないなんて納得できないわ!
「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の定義については、既に当ブログで一度取り上げたところです。
※2024年7月5日付 「事務所から発生する書類は、「産業廃棄物」になるのか?」(執筆者:橋本啓太)
「一般廃棄物」とは、「産業廃棄物ではない廃棄物」ですので、
「街路樹の剪定によって発生した剪定くず」が、産業廃棄物の「木くず」に該当するかどうかを判断するためには、廃棄物処理法及び同法施行令の定義を参照する必要があります。
産業廃棄物の「木くず」を直接規定した条文は、
廃棄物処理法施行令第2条
法第2条第4項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一 略
二 木くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
三~十三 略
です。
「木くず」は、「紙くず」と同様に「排出事業者の業種が限定されているもの」と、「業種に関わりなく全事業者に適用されるもの」の2種類があります。
まず、「木くずの排出元に該当する排出事業者の業種」は
- 建設業
- 木材または木製品の製造業
- パルプ製造業
- 輸入木材の卸売業
- 物品賃貸業
の5業種です。
次に、「業種に関わりなく全事業者に適用されるもの」は
- 木製パレット
- PCBが染み込んだ木くず
の2種類となります。
「木くず」に該当するかどうかは、上記の5業種と2種類に当てはまるかどうかを検討することになります。
「剪定くず」は、「木製パレット」と「PCBが染み込んだもの」のいずれにも該当しないことは明らかですので、残りの「5業種に剪定をした事業者の業種が該当するかどうか」を検討していくことになります。
「建設業」の許可を持つ企業が街路樹剪定を委託されるケースも多いかと思いますが、「建設業者であれば、手に触れた物すべてが産業廃棄物の木くずになる」のでしょうか?
再度、廃棄物処理法施行令第2条の定義に戻ると、
建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)
と、「建設業者」であっても、「(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)」というさらなる限定が課されています。
そのため、「剪定くず」は、「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの」には該当しないので、産業廃棄物の木くずになり得ないことがお分りいただけると思います。
ちなみに、家屋を建てるための土地の造成工事の一環で伐採された立木の場合は、「工作物の新築に伴って生じたもの」に該当しますので、産業廃棄物の「木くず」となり、造成工事の元請が排出事業者になります。