委託契約書の保存義務が排出事業者にあるイラスト
Q:廃棄物処理法において、産業廃棄物処理委託契約書の保存義務は、排出事業者だけでなく処理業者にも課されている?

A:
廃棄物処理法では、委託契約書の保存義務は排出事業者にある。
疑問

契約書なのに排出事業者だけが保存義務があるのはなぜ?

産業廃棄物処理委託契約書や前回ご説明した産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、いずれも排出事業者に締結義務や交付義務が課されています。
また、廃棄物処理法では、委託契約書について口頭契約は認められておらず、書面で締結する義務があることを過去のブログで解説しました。
2025年2月21日付 「産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、書面による契約に限らず、口頭による契約でもよい?

それでは、委託契約書は排出事業者に締結義務がありますが、保存義務まで排出事業者に限られている理由を条文から確認します。

(事業者の処理)
廃棄物処理法第12条
1 ~ 4 略
5 事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
(以下略)

(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
廃棄物処理法施行令第6条の2
 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 ~ 三 略
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
 イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
 ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
 ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
 ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
 ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
 ヘ その他環境省令で定める事項
五 前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること。
六 略

法第12条第6項において、事業者(排出事業者のこと)に対する委託基準が定められており、施行令第6条の2において、委託契約書の書面締結義務、記載事項が定められています。そのうち、同条第5号において委託契約書の保存義務が規定されています。

そして、これら条文には排出事業者のみが規定対象として記載されており、契約締結の相手方である収集運搬業者や処分業者については保存義務を課す記載がありません。
よって、委託契約書の保存義務は、排出事業者のみに課されていることが条文から読み取れます。

廃棄物処理法上は、処理業者(収集運搬業者、処分業者)に委託契約書の保存義務はありません。しかし、排出事業者との契約内容に関するトラブルを未然に防ぐ観点から、処理業者側でも契約書を保存しておくことが実務上は望ましいと言えます。

最後に、委託契約書の保存期間を確認します。

(委託契約書の保存期間)
廃棄物処理法施行規則第8条の4の3
 令第6条の2第5号の環境省令で定める期間は、5年とする。

委託契約書の保存期間は、「委託契約書の契約終了の日」から「5年」と定められています。このことについても、過去ブログで詳しく解説しておりますので、ご確認ください。
2025年6月26日付「産業廃棄物処理委託契約書の保存期間は契約締結日から5年間である?