スーパーで売れ残った「ヨーグルト」は、「動植物性残さ」として処分するのが正しい?
Q: スーパーで売れ残った「ヨーグルト」は、「動植物性残さ」として処分するのが正しい?
A:「売れ残りのヨーグルト」は、「動植物性残さ」ではなく「汚泥」に該当します。
疑問

「ヨーグルト」は、「牛乳その他を原料として製造された食品」だから、「原料として使用された動物性又は植物性の固形状の不要物」として「動植物性残さ」になるんじゃないの?

動植物性残さの排出元は、「食料品製造業」「医薬品製造業」「香料製造業」の3業種に限定されていることに留意が必要です。

スーパー(小売業)は、上記の3業種に当てはまりませんので、スーパーの売れ残り商品が「動植物性残さ」に該当することはほぼありません。

※例外としては、スーパー店内に惣菜を製造する事業場を設置し、そこから「野菜カットくず」が発生したような場合は、その「野菜カットくず」は、「食料品製造業」から発生した「動植物性残さ」に該当することがあります。

廃棄物処理法第2条第4項

 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。

一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

二 輸入された廃棄物(以下略)

「動植物性残さ」は、「その他政令(廃棄物処理法施行令第2条)で定める廃棄物」の一つで

廃棄物処理法施行令第2条

 法第2条第4項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。

四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物

と、発生業種が、「食料品製造業」「医薬品製造業」「香料製造業」の3業種に限定されているため、「小売業」であるスーパーの売れ残りヨーグルトは「動植物性残さ」に該当しないのです。

そのため、「ヨーグルト」そのものは、「事業活動から発生した汚泥」となります。

さらに厳密に言うと、「ヨーグルトの包装容器」は「廃プラスチック類」に該当しますので、「容器に入れたままの状態でヨーグルトを処分委託する」場合は、「汚泥」と「廃プラスチック類」の2つの処分業許可を持つ処分業者に委託する必要があります。

10年以上前の話となりますが、ある食品メーカーの社員が、賞味期限切れのヨーグルトを道路側溝に不法投棄をした容疑で逮捕されたことがあります。

「ヨーグルトは人間が食べるものだから、道路側溝に捨てれば、そのまま下流に安全に流されていくだろう」と安易に考えていたものと思われますが、この場合のヨーグルトは、産業廃棄物の「汚泥」でしかないことを知っていたら、安易に不法投棄をすることもなかったのではないかと思います。

「産業廃棄物の種類」は、このように非常に重要な判断ポイントとなりますので、偏った知識や安易な前例踏襲で押し切るのではなく、廃棄物処理法と照らし合わせて、正確にその帰属を判断する必要があります。