| Q: 社員食堂から発生した「食べ残し」は、産業廃棄物である? A: 社員食堂から発生した「食べ残し」は、「事業系一般廃棄物」に該当します。 |
社員食堂から発生した「食べ残し」は事業活動に伴って発生した廃棄物なのに、なぜ産業廃棄物にならないの?
まずは、「社員食堂から発生した食べ残し」が、「産業廃棄物」に該当するかどうかを検討します。
廃棄物処理法第2条 第4項
この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 (略)
廃棄物処理法の条文そのものには、「社員食堂から発生した食べ残し」が該当する産業廃棄物の種類が見当たりませんので、廃棄物処理法施行令で詳細を規定された「その他政令で定める廃棄物」を見ていきましょう。
「社員食堂から発生した食べ残し」にもっとも近い産業廃棄物の種類としては、下記の「動植物性残さ」があります。
廃棄物処理法施行令第2条
法第2条第4項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
五~十三 (略)
しかし、「動植物性残さ」については、「食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物」と、発生業種が「食料品製造業」「医薬品製造業」「香料製造業」の3業種に限定されています。
日本標準産業分類では、「社員食堂」は「宿泊業、飲食サービス業」に該当し、上記の3業種には該当しないため、「食べ残しは産業廃棄物の動植物性残さに該当しない」ことになります。
そのため、「社員食堂から発生した食べ残し」は事業系一般廃棄物に該当し、市町村または市町村から許可を受けた一般廃棄物収集運搬業者に回収してもらう必要があります。
なお、「社員食堂から発生した食べ残し」は「産業廃棄物の汚泥」に含まれるのではないか?と考える方も多いのですが、一般的な行政解釈としては、食べ残しを産業廃棄物の汚泥と位置づけている例は聞いたことがありません。
その理由を明確に解説した通知等はありませんので、筆者の個人的見解ですが、
- 一般家庭から発生する「食べ残し」と完全に同一の性状である
- 「食べ残し」には、相当量の固形状の不要物が含まれている
ことから、「産業廃棄物の汚泥ではない」と解釈されていると考えています。





