| Q:建設残土やしゅんせつ土砂は、すべて廃棄物として扱われる? A:純然たる土砂やしゅんせつ土砂は、廃棄物処理法の対象となる廃棄物ではない。 |
土もいらなくなったら廃棄物じゃないの?
たしかに「土砂」とは言え、不要となったものは廃棄物になるイメージです。まずは、廃棄物処理法における「廃棄物」の定義をどのように規定しているか条文を確認します。
(定義)
廃棄物処理法第2条
この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
廃棄物処理法の「廃棄物」の定義には、「土砂」という文言は明示されていません。条文上は、「不要物であって固形状または液状のもの」と大まかな記載がされています。では、「土砂」が廃棄物ではない明確な根拠はどこにあるのでしょうか。
これについては、廃棄物処理法が施行された当時の通知において、土砂は廃棄物に含まれない旨が示されています。
2 廃棄物の定義
昭和46年10月16日 環整43号 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について
(1) 廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。
なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。
ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの
「土砂」が廃棄物処理法の対象の廃棄物ではないことは分かりました。しかし、ここで問題となるのが、建設現場から発生する「建設残土」の扱いです。
建設残土については、国土交通省所管の建設リサイクル法にて概念が整理されています。

建設リサイクル法は、
・建設工事で発生する建設副産物の再資源化
・再生資材の建設資材としての有効利用
を通じて、建設分野における資源循環を推進する制度です。
そのうち、建設残土は、大きく以下の2つに分類されます。
1.建設発生土
2.建設汚泥、廃棄物混じりの土
建設残土の中でも、解体工事などで土砂に解体物のがれき類や木くず、ガラ陶などが混じることがあります。そのような建設残土は、土砂とは言わず「廃棄物混じりの土」ということになります。また、杭打ちなどによりコンクリートを注入しながら土地を掘削した際に発生するコンクリート交じりの土は「建設汚泥」になります。
よって、廃棄物混じりの土や建設汚泥は廃棄物として適正に処理する必要があります。
イメージがつきにくい方は、国土交通省のホームページに図解が掲載されていますので、そちらをご覧いただくと分かりやすいです。 → 「建設発生土と廃棄物混じり土のイメージ」(国土交通省)
建設工事では、多量の廃棄物が発生します。すべてをそのまま埋立処分していては、最終処分場の容量が不足してしまいます。
そこで建設リサイクル法では、廃棄物の再資源化を義務づけ・促進することで、最終処分量の削減を図る という考え方が採用されています。以下に概念図を示します。






