産廃の処理を確認する排出事業者のイラスト
Q:廃棄物処理法において、排出事業者は委託した自社の産業廃棄物が適切に処分されているか確認するため、処分先を訪問すること(現地確認)が義務付けられている?

A:廃棄物処理法において、現地確認は義務付けられていない。
疑問

現地確認は義務付けられていないけど法律上はどうなっているの?

廃棄物処理法において、排出事業者責任に重きがおかれていることはご存じのことかとは思いますが、その一つとして現地確認が存在しています。それでは、現地確認を規定している条文を確認します。

廃棄物処理法第 12 条
1~6 略
5 事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第14条第12項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
7 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

法第12条第7項において、産業廃棄物の処理を他人に委託する場合は、その処理が適切に行われているか処理状況の確認を行うこととされています。条文の末尾に「努めなければならない。」とあるように、現地確認はあくまで努力義務です。

しかし、自治体によっては、条例などによって現地確認を義務化しているところもあります。
両筆者の管轄である「北海道」と「大阪府」に関して確認してみます。

まず、北海道について条例を確認すると1年以上の委託については、現地確認を義務としています。

北海道循環型社会形成の推進に関する条例第32条
 事業者は、その事業活動に伴って生じた産業廃棄物の処分を1年以上にわたり継続して産業廃棄物処分業者に委託するときは、毎年1回以上定期的に、規則で定めるところにより、当該委託に係る処分の実施の状況その他の規則で定める事項を確認し、その結果を記録しなければならない。
2 事業者は、規則で定めるところにより、前項の規定による記録を保存しなければならない。
3 事業者は、第1項の委託に係る産業廃棄物について、産業廃棄物の不適正な処分が行われ、又は行われるおそれがあることを知ったときは、直ちに、当該委託を受けた産業廃棄物処分業者に対する是正の指示その他の当該産業廃棄物の適正な処分のために必要な措置を講ずるとともに、当該産業廃棄物の不適正な処分の状況及び講じた措置の概要を知事に報告しなければならない。

また、条例規則において記録する内容まで規定されており、その保存期間は5年間と定められています。記録する内容は以下のとおりです。

(1) 確認した年月日
(2) 確認した者の氏名
(3) 確認の方法
(4) 当該委託に係る処分の実施の状況
(5) 当該委託に係る処分が行われる施設の状況
(6) 当該委託に係る処分のための産業廃棄物の保管の状況

次に大阪府ですが、ホームページにより確認しましたが、現地確認を義務付ける条例などは設けていないようですが、現地確認時に利用できるチェックリストを公開しています。現地確認の際に利用ください。
大阪府HP 「排出事業者が行う処分施設実地確認について

廃棄物はその性質上、他人に委託した時点で処理の責任から解放されると思われがちですが、産業廃棄物については委託契約書の締結義務やマニフェストの交付など産業廃棄物を委託した後も責任が生じます。その一つとして現地確認は、処分業者の不適切な処理を防ぐ重要な役割を果たすと感じています。

廃棄物処理法では、努力義務とされている現地確認ですが、自社が排出した産業廃棄物がどのように処理されるのか年に1度は委託先処理業者の確認を行ってはいかがでしょうか。