行政への提出を悩んでいる人のイラスト
Q:産業廃棄物管理票(マニフェスト)について、返送期限の超過や虚偽記載等があった場合、排出事業者は都道府県知事(政令市長)に報告する必要がある?

A:報告の必要がある。
疑問

マニフェストを返却しない処理業者が悪いのに排出事業者で報告が必要なの?

産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付義務が排出事業者にあることについては、これまでのブログでも解説してきました。では、排出事業者が適正にマニフェストを交付していたにも関わらず、処理業者からマニフェストが返送されない場合や、虚偽の記載があった場合は、誰の責任になるのでしょうか。

一見すると処理業者の責任のようにも思えますが、法律上はどのように規定されているのか、条文を確認していきましょう。

(管理票交付者が講ずべき措置)
廃棄物処理法規則第8条の29
 管理票交付者は、法第12条の3第8項に規定するときは、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、次の表の上欄の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる報告期限までに、様式第四号による報告書を都道府県知事に提出するものとする。

(産業廃棄物管理票)
廃棄物処理法第12条の3
1 ~ 7 略
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第3項から第5項まで若しくは第12条の5第6項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第14条第13項、第14条の2第4項、第14条の3の2第3項(第14条の6において準用する場合を含む。)、第14条の4第13項若しくは第14条の5第4項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。
(以下略)

これらの条文から、次のような場合には、マニフェスト交付者(排出事業者)が都道府県知事(政令市)へ報告書を提出する必要があることが分かります。

・マニフェストが返送されない場合
・虚偽の記載があるおそれがある場合
・処理困難通知を受けた場合 など

このときに提出する報告書が、いわゆる「措置内容等報告書」です。

施行規則8条の29に規定されている「下欄に掲げる報告期限」は、次のとおりです。

報告の対象報告期限
マニフェスト交付の日から90日(特別管理産業廃棄物は60日、E票は180日)以内にその写しの送付を受けない場合左記の期間が経過した日から30日以内
法定事項が未記載のマニフェストの写しの送付を受けた場合当該管理票の写しの送付を受けた日から30日以内
虚偽の記載のあるマニフェストの写しの送付を受けた場合虚偽の記載のあることを知った日から30日以内
収集、運搬又は処分を適正に行うことが困難となるか又は困難となるおそれがある旨の通知を受けた場合左記の通知を受けた日から30日以内

ここまで説明してきたのは紙のマニフェストに関する報告書ですが、電子マニフェストについても以下条文のとおり同様の規定が設けられています。

(電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者が講ずべき措置)
廃棄物処理法規則第8条の38
 電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者は、法第12条の5第11項に規定するときは、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、次の表の上欄の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる報告期限までに、様式第五号による報告書を都道府県知事に提出するものとする。

措置内容等報告書には、直罰規定がありません。そのため、報告書を提出しなかったからといって直ちに罰せられるわけではありません。
ただし、処理業者によって適切に処理できないなどの場合は、排出事業者としての義務を果たす必要があります。委託した産業廃棄物が処理業者によって適切に処理されない場合、排出事業者に行政指導が行われる可能性があります。その行政指導に従わない場合には、行政処分の対象となる可能性があり、内容によっては、罰則規定の適用を受けることもあるため注意が必要です。

措置内容等報告書は、実務上、提出件数の少ない報告書です。
私が行政職員として在職していた当時、この報告書を多く受けていたのは、PCBの処理に関する案件でした。高濃度PCBは処理に時間をようするため、処理業者(JESCO)から排出事業者にあらかじめ提出の要請をされていました。

措置内容等報告書は、排出事業者からの報告を通じて、行政が不適切な廃棄物の処理を早期に把握するための制度です。マニフェストが返却されない、記載内容に違和感を覚えた場合は、この報告書の存在を 思い出していただければ幸いです。