
Q:飲食店から発生する残飯は、全て産業廃棄物である? A:全て産業廃棄物ではなく一般廃棄物になるものもある。 |

残飯は、飲食店という事業活動から生じた廃棄物なのに一般廃棄物になるの?
たしかに、飲食店は事業活動を行っていますので、食べ残しや飲み残しなどの残飯は産業廃棄物に該当するのが正しいのではないかと思われる方もおられるかもしれません。
それでは、今回のクイズについて発生が予想される廃棄物からその分類を考えてみましょう。
まずは、飲食店から発生する残飯に該当しそうな廃棄物を予想すると以下のようなものが考えられます。
食べ残し → 「動植物性残さ?、汚泥?」
飲み残し → 「廃酸、廃アルカリ?」
食べ残った手羽先の骨 → 「動物系固形不要物?、動物の死体?、動植物性残さ?」
それぞれの廃棄物が産業廃棄物か一般廃棄物かを確認するため法律を確認しましょう。
(定義)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
廃棄物処理法第2条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
(中略)
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
(中略)
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(以下略)
定義にあるとおり「産業廃棄物」は法律、政令で定義された廃棄物であり、それ以外は「一般廃棄物」になります。
先ほど予想した廃棄物の中で残飯に該当しそうな種類は、「汚泥」、「廃酸」、「廃アルカリ」などがあげられます。
さらに、政令で定める廃棄物も確認しましょう。
(産業廃棄物)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)
廃棄物処理法施行令第2条 法第2条第4項第1号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
(中略)
四 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形状の不要物
四の二 と畜場法第3条第2項に規定すると畜場においてとさつし、又は解体した同条第1項に規定する獣畜及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第6号に規定する食鳥処理場において食鳥処理をした同条第1号に規定する食鳥に係る固形状の不要物
十一 動物の死体(畜産農業に係るものに限る。)
(以下略)
先ほどと同じく残飯に該当しそうな種類は、「動植物性残さ」、「動物系固形不要物」、「動物の死体」です。
法律で定める産業廃棄物の種類には特に条件などなく、その種類に該当すると産業廃棄物となります。
ところが、政令で定める産業廃棄物の種類には次のような条件が付いています。
動植物性残さ → 食料品製造業、医薬品製造業又は香料製造業に限る
動物系固形不要物 → と畜場や食鳥処理場に限る
動物の死体 → 畜産農業に限る
よって、飲食店から排出される残飯のうち政令で定める「動植物性残さ」、「動物系固形不要物」、「動物の死体」が発生した場合は、産業廃棄物に該当せず、一般廃棄物に該当することになります。
なお、食品廃棄物の定義については、以前にも本ブログで解説していますので併せてご確認ください。
2025年2月14日付「スーパーで売れ残った「ヨーグルト」は、「動植物性残さ」として処分するのが正しい?」