
Q:自ら排出した産業廃棄物を自ら処分する場合、産業廃棄物処理施設の許可は不要である? A:自社処理であっても産業廃棄物処理施設の設置許可は必要です。ただし、産業廃棄物処分業の許可は不要です。 |

他人の廃棄物を処理するときは許可必要って習った気がするんだけど、自社の廃棄物でも許可がいるの?
よく勉強されている方は、このような誤解を抱くかもしれません。
たしかに産業廃棄物収集運搬業や処分業のような営業許可に関しては、「業(ビジネス)として他人の廃棄物を扱う場合に許可が必要」としています。
それとは別に一定規模以上の産業廃棄物処理施設に許可が必要です。産業廃棄物処理施設の規模については、2024年11月21日付「産業廃棄物処理施設を設置する際は、必ず許可を取得する必要がある?」をご確認ください。
それでは、いつものように該当条文を確認しましょう。
(産業廃棄物処理施設)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
第15条 産業廃棄物処理施設(廃プラスチック類処理施設、産業廃棄物の最終処分場その他の産業廃棄物の処理施設で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
営業許可である「産業廃棄物収集運搬業」や「産業廃棄物処分業」との大きな違いは、条文の主語が、「設置しようとする者」になっている点です。
営業許可(14条(7条)許可) ⇒ ビジネスとして他人の廃棄物を扱う場合
施設許可(15条(8条)許可) ⇒ 一定規模以上の廃棄物処理施設を設置する場合
よって、自社処理の場合は、営業許可は不要ですが、施設許可は必要ということになります。
産業廃棄物に関して、廃棄物処理法に基づく許可制度を図示すると以下のようになります。

また、営業許可は人(法人)に対して与えられるのに対し、施設許可は、施設自体に与えられます。
この違いは重要で、営業許可は、
2024年9月27日付「産業廃棄物収集運搬業の許可は他人に譲ったり、承継したりできるのか?」
で解説したとおり、許可を他人に譲ることはできませんが、施設許可に関しては他人に譲ることができます。
施設許可の譲渡については、別の機会にクイズとして出題するかもしれませんので、頭の片隅に置いておいてください。