産業廃棄物処理委託契約書に許可証が義務であることのイラスト
Q:産業廃棄物処理委託契約書に添付する産業廃物処理業者の「許可証の写し」は任意である?

A:委託先処理業者の「許可証の写し」の添付は義務です。
唖然

委託契約書に添付している許可証って参考につけているものだと思ってたわ!

産業廃棄物処理委託契約書(以下「委託契約書」)を作成・保存することは委託者である排出事業者の責任であることは以前の記事で解説しました。
2025年1月30日付「産業廃棄物処理業者提供の契約書に記載漏れがあった場合は、処理業者の過失であるので、排出事業者は刑事罰の対象にならない?

委託契約書の作成は委託基準の一部ですので、記載内容や添付すべき書面を添付していないと委託基準違反となります。委託基準違反とならないように今回の内容についても条文を基に確認をしていきましょう。
まずは、委託基準の条文から確認します。

(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
廃棄物処理法施行令第6条の2
 法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 ~ 三 略
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
 イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
 ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
 ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
 ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
 ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
 ヘ その他環境省令で定める事項

これまで何度も確認してきた委託基準の条文ではありますが、改めて確認すると委託契約の条文には、委託契約書に記載する内容に加え「環境省令で定める書面が添付されていること。」が求められていることがわかります。
さて、その添付すべき書面が記載されている環境省令を確認します。

(委託契約書に添付すべき書面)
廃棄物処理法施行規則第8条の4
 令第6条の2第4号の環境省令で定める書面は、次の各号に掲げる委託契約書の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
一 産業廃棄物の運搬に係る委託契約書 第10条の2に規定する許可証の写し、令第7条の6において準用する令第5条の7に規定する認定証の写し、令第7条の8において準用する令第5条の9に規定する認定証の写し、令第7条の10において準用する令第5条の11に規定する認定証の写しその他の受託者が他人の産業廃棄物の運搬を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の運搬がその事業の範囲に含まれるものであることを証する書面
二 産業廃棄物の処分又は再生に係る委託契約書 第10条の6に規定する許可証の写し、令第7条の6において準用する令第5条の7に規定する認定証の写し、令第7条の8において準用する令第5条の9に規定する認定証の写し、令第7条の10において準用する令第5条の11に規定する認定証の写しその他の受託者が他人の産業廃棄物の処分又は再生を業として行うことができる者であつて委託しようとする産業廃棄物の処分又は再生がその事業の範囲に含まれるものであることを証する書面

(産業廃棄物収集運搬業の許可証)
廃棄物処理法施行規則第10条の2
 都道府県知事は、法第14条第1項の規定により産業廃棄物収集運搬業の許可をしたとき、又は法第14条の2第1項の規定により当該事業の範囲の変更の許可をしたときは、様式第七号(優良産業廃棄物収集運搬業者にあつては、様式第七号の二)による許可証を交付しなければならない。

(産業廃棄物処分業の許可証)
廃棄物処理法施行規則第10条の6
 都道府県知事は、法第14条第6項の規定により産業廃棄物処分業の許可をしたとき、又は法第14条の2第1項の規定により当該事業の範囲の変更の許可をしたときは、様式第九号(優良産業廃棄物処分業者にあつては、様式第九号の二)による許可証を交付しなければならない。

産業廃棄物の処理を委託する収集運搬と処分に分けて記載されていますが、いずれも「許可証の写し」を求めていることがわかります。よって、委託契約書に委託先処理業者の「許可証の写し」の添付は必須と言えます。

さて、実務的に排出事業者が注意すべきポイントをお伝えします。
委託契約書は、委託契約の締結時に作成され、その後は委託期間が自動更新となるケースが多く、見直す機会があまりないかもしれません。もし、契約時に添付された委託先処理業者の許可証の有効期限が1年未満の場合、委託期間中に添付している許可許可証の期限が切れてしまう可能性があります。
この場合、期限が切れる前に排出事業者が委託先処理業者に新たな許可証を取得して許可が継続しているか確認する必要があります。

なお、条文上は「委託契約書に添付する許可証の写しは許可期限ごとに取得し差し替えること。」とは規定されていません。
しかし、許可証の写しを定期的に確認することで、委託先処理業者の許可が継続しているかを把握でき、知らぬ間に無許可業者へ委託してしまう事態を防ぐことができます。

この機会に貴社の委託契約書に添付されている委託先処理業者の「許可証の写し」を見直してみてはいかがでしょうか。