Q:日本の産業廃棄物の埋立処分量は年々減少している? A:埋立(最終)処分量は年々減少傾向にあります。 |
大昔とは違って、不法投棄対策として、最終処分完了まで求められているのに、なぜ埋立処分量は減少しているの?
本稿執筆時点で最新となる、環境省の2024年3月29日付発表の「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度実績)について」によると、
令和2年度実績と比べ、令和3年度では減量化量が約 234 万トン(1.4%)減少、再生利用量
が約 470 万トン(2.4%)増加、最終処分量が約 26 万トン(2.9%)減少した。
と、最終処分量は、前年度比較で約3%減少しています。
これは令和3(2021)年度に限った減少ではなく、平成10(1998)年度以降、ほぼ一貫して減少傾向を示しています。
上記のグラフは「百万t」単位であるため、近年の最終処分量は同じ数値を示しているように見えますが、先述したとおり、最新の令和3(2021)年度の最終処分量は、前年度より2.9%減少し、882.5万トンとなっています。
※ちなみに、令和元(2019)年度のみ、産業廃棄物の「排出量」と「最終処分量」が、前年度よりも微増しています。
最終処分量が減少し続けているのであれば、いずれは最終処分場が要らなくなるの?
決してそんなことはありません。
近い将来に、産業廃棄物を完全に消滅させる夢のような技術革新が起きれば話は別かもしれませんが、「リサイクル」で、産業廃棄物すべてを有価物に加工することができない現状では、地中に埋めるしかない産業廃棄物を最終的に引き受ける場所として、最終処分場は日本に不可欠のインフラです。
また、天災が起きると災害廃棄物が大量に発生しますが、各地の最終処分場は、その災害廃棄物の受け入れ先として地域の迅速な復興を下支えしています。
もちろん、最終処分場は周辺地域に環境負荷を与える側面がありますので、不適切な管理や、法律違反となる操業は許されない施設であることは間違いありません。
しかしながら、廃棄物処理法に則った管理を行い、近隣ステータスホルダーに適時・適切な情報公開を行っている優良な最終処分場も数多く存在していますので、そのような優良処分業者を1社でも多く増やし、災害発生時の備えとしても、優良な最終処分場と地域の連携を一層進めることが重要ですね。