実費程度の徴収であれば、商品を納入する際に、廃棄物収集運搬業許可を持たない運送業者が不要品を回収しても違法ではない?
尾上雅典
この記事の執筆者
尾上雅典
行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q: 実費程度の徴収であれば、商品を納入する際に、廃棄物収集運搬業許可を持たない運送業者が不要品を回収しても違法ではない?
A: 無償回収ではなく、販売者による回収でもないため、廃棄物処理法違反となります。
疑問

顧客サービスで善意で回収してくれているのに、法律違反になってしまうの⁉︎

商品を販売した際に、それまで使用していた同種の商品を引き取る、いわゆる「下取り回収」については、一定の条件を満たす場合、産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する必要はありません。

環境省は、「産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて」(平成25年3月29日付け環廃産発第13032910号)の第1・15「その他」(2)で、次のように通知しています。

「新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済みのものを無償で引き取り、収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。」

この通知から、許可不要となる下取り回収には、

  • 新しい製品を販売する際の回収であること
  • 商慣習として行われること
  • 販売した製品と同種の使用済み製品であること
  • 無償で引き取ること

という条件があることがわかります。

では、なぜ上記の条件を満たす場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可が不要となるのでしょうか?

その理由は、
下取りされた使用済み製品は、販売者が販売という事業活動に伴って排出した廃棄物として取り扱われるためです。

つまり、販売者が顧客から無償で下取りをした時点で、その廃棄物については販売者自身が排出事業者となります。

排出事業者自身で自ら排出した産業廃棄物を運搬することは、「他人の産業廃棄物を収集運搬する」のではなく、「自ら運搬」となるため、産業廃棄物収集運搬業の許可が不要となるわけです。

「下取り」という名前を付けさえすれば、誰でも無許可で使用済み製品を運べるわけではありません。

今回の設問では、まず「実費程度」とはいえ、不要品の回収について料金を徴収しています。

金額が安いか高いかではなく、有料で回収している以上、通知が明示する「無償で引き取り」という条件を満たしません。

さらに、回収するのは販売者自身ではなく、産業廃棄物収集運搬業の許可を持たない運送業者です。

販売者が下取りした産業廃棄物の収集運搬を運送業者が行う場合は、その運送業者には産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。

「商品を届けた帰りに持って帰るだけ」
「お客さんが助かるから」
「実費しかもらっていない」

といった事情があったとしても、それだけで産業廃棄物収集運搬業の許可が不要になるわけではありません。

廃棄物処理法上では、誰の廃棄物を、誰が、どのような立場で運搬しているのかによって許可の要否が決まります。

下取り回収の特例を活用するのであれば、販売者自身による下取りという制度の構造を理解しておくことが重要です。

尾上雅典
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尾上雅典

行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント

廃棄物処理法、委託基準、処理委託契約、許可実務などを中心に、制度の構造と実務判断を整理しています。

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