道路管理の一環で抜いた雑草は「産業廃棄物」に該当する?
尾上雅典
この記事の執筆者
尾上雅典
行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント
「廃棄物実務クエスト」共同執筆者
Q:道路管理の一環で抜いた雑草は「産業廃棄物」に該当する?
A・抜かれた雑草は「一般廃棄物」に該当します
疑問

「道路管理」は事業活動なのに、なぜ産業廃棄物にならないの?

道路管理の一環で除草した雑草は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物に該当します。

道路管理という行為自体は事業活動に間違いありませんが、そこから生じた雑草が産業廃棄物になるかどうかは、事業活動かどうかとは別に、その廃棄物が政令で定める産業廃棄物の種類のいずれかに当てはまるかどうかで判断します。

雑草は、後述のとおりこの政令列挙のいずれにも該当しないため、事業活動に伴って生じた廃棄物であっても一般廃棄物(事業系一般廃棄物)として扱われます。

法的根拠

廃棄物処理法第2条第4項は、産業廃棄物を「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」と定義しています。

ここでポイントとなるのは、「事業活動に伴って生じた廃棄物」であることに加えて、法律または政令が列挙する特定の種類に該当することが必要という点です。

事業活動から出た廃棄物であれば何でも産業廃棄物になるわけではありません。

事業活動に伴う廃棄物であっても、政令列挙の種類に当てはまらないものは、一般廃棄物として扱われます。

植物性の廃棄物のうち、廃棄物処理法施行令第2条が政令で列挙するものとしては「木くず」があります。

施行令第2条第二号の木くずは、建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものに限る)、木材又は木製品製造業、パルプ製造業、輸入木材卸売業などから生じた「木」質のものに限られています。

ここで重要なのは、木くずの対象がそもそも木本植物である「木」に限られているという点です。

雑草は草本植物であり「木」ではないため、道路管理者(国、都道府県、市町村又はその委託を受けた業者)が除草作業によって生じさせたものであっても、業種指定の当てはめ以前に、木くずという物の定義自体に該当しません。

このように、雑草は施行令が列挙する産業廃棄物のいずれの種類にも当てはまらないため、一般廃棄物として処理することになります。

「事業活動から出た廃棄物だから産業廃棄物」という誤解が生じる理由

この誤解の多くは、「事業活動に伴って生じた廃棄物」という産業廃棄物の定義の前半部分だけに着目し、後半の「政令で定める種類に該当すること」という要件を見落とすことから生じます。

道路管理は明らかに事業活動であり、除草作業も委託契約に基づく業務の一環です。

しかし、産業廃棄物に該当するかどうかは、「事業活動かどうか」のみならず、「廃棄物の種類そのものが政令列挙に当てはまるかどうか」も考慮する必要があります。

事業活動から生じた廃棄物であっても、政令列挙のいずれにも該当しなければ、(事業系)一般廃棄物として扱われるというのが廃棄物処理法の基本構造です。

同じ道路管理でも、建設工事に伴って生じた「伐採木」や「伐根」であれば、産業廃棄物の「木くず」に該当します。

雑草と伐採木を混同し、「道路管理から出る植物系の廃棄物はすべて産業廃棄物」と誤解しているケースも見受けられますが、木本植物(木くず対象)と草本植物(雑草)とでは扱いが異なる点に注意が必要です。

実務上の注意点

雑草を委託処理する場合、委託先には一般廃棄物処理業の許可が必要です。

産業廃棄物処理業の許可のみを有する業者に雑草の処分を委託すると、当該業者にとっては無許可営業(一般廃棄物処理業の無許可営業)に当たるおそれがあるため、委託先の許可の種類を必ず確認する必要があります。

一般廃棄物の処理は、廃棄物処理法上、市町村が包括的な処理責任を負っています。

事業活動に伴う事業系一般廃棄物の場合は、
市町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者に委託するか
市町村が指定する処理施設に自ら搬入するのが基本です。

委託先の選定にあたっては、当該市町村の一般廃棄物処理業許可を保有しているかどうかを確認しておくとよいでしょう。

また、一般廃棄物であることから、産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付義務は生じません。

マニフェスト制度は産業廃棄物を対象とする制度であるため、雑草の処理委託にはそもそも適用されない点も押さえておく必要があります。

なお、伐採木・伐根材のように木くずとして産業廃棄物に該当するものが同じ現場で混在するケースもあります。

刈り取った雑草と伐採した樹木を区別せずに一括して搬出すると、処理業者側で産業廃棄物と一般廃棄物が混在した状態となり、適正処理の観点から問題が生じかねません。

現場では、雑草と伐採木・伐根材とを分別して排出することが望まれます。

まとめ

道路管理の一環で除草した雑草は、道路管理という事業活動に伴って生じたものであっても、廃棄物処理法施行令が定める「木くず」をはじめとする産業廃棄物の種類のいずれにも該当しないため、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として扱われます。

産業廃棄物に該当するかどうかは、「事業活動に伴う廃棄物かどうか」のみならず、「政令列挙の種類に当てはまるかどうか」も考慮する必要があるという点を押さえておくことが、実務上の誤解を防ぐ鍵となります。

一般廃棄物の処理委託を行う際は、委託先が一般廃棄物処理業の許可を有しているかを確認し、伐採木・伐根材など木くずに該当しうるものとは分別して排出することが重要です。

尾上雅典
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尾上雅典

行政書士 / 廃棄物法務コンサルタント

廃棄物処理法、委託基準、処理委託契約、許可実務などを中心に、制度の構造と実務判断を整理しています。

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