
Q:「委託契約の有効期間」は、それほど重要な内容ではないので、産業廃棄物処理委託契約書に記載しなかったとしても違法ではない? A:「委託契約の有効期間」は法定記載事項ですので、産業廃棄物処理委託契約書に必ず記載しなければなりません |

「契約の有効期間」は、産業廃棄物処理委託とは無関係な些末な内容ではないの?
まずは、廃棄物処理法で排出事業者に義務づけられている、産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項を見ていきましょう。

上記のとおり、「委託契約の有効期間」は、「収集運搬委託契約」と「処分委託契約」の双方の契約書に記載が必要な法定記載事項の一つです。
それでは、なぜ「委託契約の有効期間」は産業廃棄物処理委託契約書の法定記載事項とされたのでしょうか?
法定記載事項となったのは、平成9(1997)年の廃棄物処理法改正によってです。
「委託契約の有効期間」が法定記載事項に追加された理由については、通知等で具体的に解説されてはいませんが、平成10年5月7日付通知 生衛発780号では、法定記載事項追加の目的として、
・排出事業者の処理責任の履行を徹底
・不適正な処理委託による産業廃棄物の不適正処理を防止するため
とされていますので、産業廃棄物の適正処理を確保するための、排出事業者責任強化の一環であったことがわかります。
実務的な面から説明を加えると、「委託契約の有効期間」は、排出事業者と産業廃棄物処理業者間の契約が有効に成立していた期間を明示する重要事項です。
仮に、契約の有効期間が経過し、契約期間の満了とともに産業廃棄物処理委託契約が終了しているにもかかわらず、排出事業者がそのまま産業廃棄物処理業者に委託をし続けている場合は、従前の契約は終了しているため、契約無しで産業廃棄物の処理委託をしていることになります。

「自動更新条項」が付いた契約書の場合はどうなるの?「契約の有効期間」を改めて書き直さないといけないの?
「自動更新条項」が付いた契約書の場合、契約更新前に排出事業者と産業廃棄物処理業者のいずれかが異議を申し立てない限り、同内容の契約が自動的に更新され、「契約の有効期間」も更新されることになりますので、改めて契約書を再作成する必要はありません。
※契約書再作成の手間を省くための「自動更新条項」ですしね
最後に、「委託契約の有効期間」その他の法定記載事項を欠いた状態の産業廃棄物処理委託契約書で契約をした場合、「委託基準違反」として「3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金またはこの併科(廃棄物処理法第26条)」の対象となります。

「法定記載事項」の一つ一つは、中学生でも理解できる日本語ですので、契約書への記載が義務づけられている事項については、漏れなくすべて記載することが鉄則となります。