家屋解体前に発注者が使用していたテレビ等の電気製品を、解体廃棄物と合わせて施工業者に処分してもらうことは廃棄物処理法違反ではない?
Q:家屋解体前に発注者が使用していたテレビ等の電気製品を、解体廃棄物と合わせて施工業者に処分してもらうことは廃棄物処理法違反ではない?

A:発注者が使用していた電気製品は、元請(施工業者)が排出した建設廃棄物ではなく、発注者の残置物ですので、施工業者に処分委託すると廃棄物処理法違反になります。
疑問

解体工事で大量に廃棄物が発生するので、それと一緒に施工業者に処分してもらう方が合理的なのでは?

元請(施工業者)が建設廃棄物の排出事業者となる原則については、廃棄物処理法第21条の3第1項で次のように定められています。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第21条の3第1項 
 土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第3条第2項及び第3項、第4条第4項、第6条の3第2項及び第3項、第13条の12、第13条の13、第13条の15並びに第15条の7を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

「当該建設工事に伴い生ずる廃棄物」とあるように、建設(解体)工事を請負ったからといって、発注者の廃棄物を建設廃棄物と一緒くたに処分することまでは認められていません。

それに、発注者が法人ではなく個人の場合で、その個人が所有していたテレビ等の電気製品は、産業廃棄物ではなく、一般廃棄物に該当しますので、(通常は)一般廃棄物処理業の許可を持たない元請業者は、それらの電気製品の処分を請負うと、「一般廃棄物処理業の無許可営業」となり、「5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、またはこの併科」の対象となってしまいます。

また、環境省は、平成30年6月22日付通知「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて」

残置物が一般廃棄物である場合、その処理を受託する者にあっては、産業廃棄物処理業の許可を取得していることのみでは足りず、市町村からの当該残置物の処理に係る委託又は一般廃棄物処理業の許可を受けなければならないことに留意が必要であり、市町村は、廃棄物処理法第7条第5項各号又は第 10 項各号に適合していると認めるときでなければ許可をしてはならない。

リフォーム工事など、建築物の解体以外の場合においても、当該建築物の所有者等が残置した廃棄物については、その処理責任は当該建築物の所有者等にある。

と、発注者(元々の電気製品所有者)の排出事業者責任を明示しています。

発注者と元請・下請の全員が、廃棄物処理法の規定を理解し、誠実にそれぞれの責任を遂行することが求められています。

最後に、上記の通知と一緒に制作された環境省の啓発リーフレットを転載しておきます。