PE等の合成繊維でできたユニフォームを会社が処分する場合は、産業廃棄物の「繊維くず」として処分すれば良い?
Q:PE等の合成繊維でできたユニフォームを会社が処分する場合は、産業廃棄物の「繊維くず」として処分すれば良い?
A:合成繊維製のユニフォームや作業服を廃棄物として処分する場合は、産業廃棄物の「廃プラスチック類」として処分する必要があります。
疑問

ユニフォームは服だから、「繊維くず」じゃないの?

「繊維くず」の定義については、
当ブログ2025年2月28日付 記事 「リサイクルショップが古着を廃棄処分する場合は、産業廃棄物の「繊維くず」として処分するのが正しい?」で解説したとおり

廃棄物処理法施行令第2条
 法第2条第4項第一号の政令で定める廃棄物は、次のとおりとする。
一~二 (略)
三 繊維くず(建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く。)に係るもの及びポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。)
四~十三 (略)

「建設業に係るもの」と「繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)に係るもの」と、発生業種が2業種に限定されています。

※PCBが染み込んだ場合は、発生業種に関係なく産業廃棄物の「繊維くず」になりますが、通常、会社が支給するユニフォームや制服にPCBが染み込むことは現代ではほぼ有り得ませんので、解説の対象から除外してお考えください。

廃棄物処理法が制定された1970(昭和45)年当時の日本の繊維工業と言えば、「綿」や「絹」等の天然繊維が中心であり、石油を原料として化学的に合成された「化学繊維」は主流ではありませんでした。

そのため、廃棄物処理法制定当時の「繊維くず」と言えば、「天然繊維」とほぼ同義でしたが、現在の日本標準産業分類の「繊維工業」には、「化学繊維・ねん糸等製造業」が含まれていることを挙げるまでもなく、社会で流通している服の多くに「化学繊維」が含まれています。

厳密には、これらの「繊維工業」が製造したユニフォームを、その製造者が廃棄処分する場合は、「天然繊維」であろうと「合成繊維」であろうと、「繊維くず」として処分することになります。

今回の出題のように、「ユニフォーム」や「会社」と表記した場合、「オフィス」や「工場」で使用される「制服」や「作業服」をイメージするという反応の方が一般的だと思いますので、本記事は「繊維工業ではなく、一般的な会社で使用されたユニフォーム」という前提で解説を進めさせていただきます。

余談が少し長くなりましたが、合成繊維製のユニフォームを(一般的な)会社がまとめて処分する場合は、「廃プラスチック類」として処分する必要があります。

ここで、「PE 100%」なら「ユニフォーム全体で廃プラスチック類」と誰もが判断できるところですが、

「PET 80%、綿 20%」と、合成繊維と天然繊維が両方含まれる製品についてはどう考えるべきでしょうか?

「使われている割合が高い繊維で判断する」といった明確な基準はありません。

厳密に考えるならば、「PET 80%、綿 20%」という割合のユニフォームの場合、「80%のPETについては産業廃棄物(廃プラスチック類)」と「20%の綿については事業系一般廃棄物」の「混合物」とも言えますが、

総量を「廃プラスチック類」として適切に処分しているのであれば、市町村サイドが「20%については事業系一般廃棄物に該当するので、廃棄物処理法違反」という指摘をする確率はゼロに等しいと思われます。

「その物の性状」と「常識」に基づき、適切な処分方法を選択することが肝要ですが、「何が適切なのかがわからない」という場合は、最寄りの市町村の廃棄物部局に「合成繊維と天然繊維の混合割合」を示した上で、相談するしかありません。

よほどイレギュラーな製品でない限り、「産業廃棄物の廃プラスチック類として適切に処分してください」という回答が返ってくるように思いますが。