Q. 産業廃棄物管理票(マニフェスト)を使用した場合、マニフェスト交付者は都道府県知事に報告する必要がある? A. 報告の必要がある。毎年6月末までに、その年の3月末以前の1年間において交付したマニフェストの交付等の状況を都道府県知事に報告する。 |
今回のクイズで約6割の方が、間違いである「報告の必要がない。」を選ばれていました。
それだけ知られていない規定であることがわかりましたので、条文から丁寧に説明します。
排出事業者の義務として、有名な「委託契約書」や「マニフェストの保存」ですが、産業廃棄物管理票交付等状況報告書もそれに並ぶ排出事業者の義務です。
提出義務があるのは、マニフェストを使用した事業者全てですので、これを機会に提出漏れがあった場合は、行政への提出を行ってください。後ほど説明しますが、最悪の場合、罰則の適用もある規程です。
それでは、産業廃棄物管理票交付等状況報告書は法律上どこに記載があるのでしょうか。
(産業廃棄物管理票)
第12条の3
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第12条の5第1項及び第2項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。
(中略)
7 管理票交付者は、環境省令で定めるところにより、当該管理票に関する報告書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の条文に、「管理票交付者」を主語として「報告書の作成」と「都道府県知事への提出」を求めています。
さらに省令に詳細な内容が記載されています。
(管理票交付者の報告書)
第8条の27
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)
法第12条の3第7項の規定による管理票に関する報告書は、産業廃棄物を排出する事業場(同一の都道府県(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項に規定する指定都市又は同法第252条の22第1項に規定する中核市にあつては、市)の区域内に設置が短期間であり、又は所在地が一定しない事業場が2以上ある場合には、当該2以上の事業場を1の事業場とする。)ごとに、毎年6月30日までに、その年の3月31日以前の一年間において交付した管理票の交付等の状況に関し、様式第三号により作成し、当該事業場の所在地を管轄する都道府県知事に提出するものとする。
文字だけではわかりにくいと思いますので、イメージとしては以下の図のとおりです。
産業廃棄物管理票交付等状況報告書は、毎年度(4/1~翌年3/31)使用したマニフェストの内容をまとめて6月末までに報告する報告書で、添付書類などは特にない必要事項を様式に記入するだけのシンプルな報告書です。
様式は、各都道府県のHPで公開されているものをご利用ください。
ここまで、マニフェストを交付した者は、報告しないといけないと説明しましたが、実はこの規定、紙のマニフェストを使用した場合に限られます。
電子マニフェストを利用している場合は、報告の必要はありません。電子マニフェストを運営している日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が都道府県知事等に報告を行いますので、排出事業者が自ら報告する必要はありません。
(引用)日本産業廃棄物処理振興センター
最後に、産業廃棄物管理票交付等状況報告書を提出しなかった場合どうなるのかというと、勧告、公表をされることになります。公表されてもなお、措置をとらなかった場合は、罰則(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)の適用となります。
(勧告及び命令)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
第12条の6
都道府県知事は、第12条の3第1項に規定する事業者、運搬受託者又は処分受託者(以下この条において「事業者等」という。)が第12条の3第1項から第10項まで、第12条の4第2項から第4項まで又は前条第1項から第4項まで、第6項、第7項及び第11項の規定を遵守していないと認めるときは、これらの者に対し、産業廃棄物の適正な処理に関し必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する勧告を受けた事業者等がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
3 都道府県知事は、第1項に規定する勧告を受けた事業者等が、前項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつたときは、当該事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
第27条の2
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(中略)
11 第12条の6第3項の規定による命令に違反した者
紙マニフェストをご利用の排出事業者の方は、報告書の提出を忘れず行いましょう!
それか、この機会に電子マニフェストに切り替えをおススメいたします。