| Q:産業廃棄処理委託契約書の法定記載事項には、受託者の「許可番号」も含まれる? A:受託者の「許可番号」は法定記載事項ではない。 |
産業廃棄物の処理を委託する事業者の許可番号がわかっていないとちゃんと許可持ってるかわからないけど大丈夫?
排出事業者が廃棄物の処理を委託する際に避けて通れないのが、産業廃棄物委託契約書です。
産業廃棄物の契約においては、廃棄物処理法により書面また電子での契約が義務付けられています。また、委託契約書に記載する事項も法律で定められています。
この点については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご確認ください。
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2025年2月21日付「産業廃棄物の処理を他人に委託する場合、書面による契約に限らず、口頭による契約でもよい?」
2025年5月23日付「産業廃棄物処理委託契約書は、書面で作成することが義務付けられているため電子契約はできない?」
それでは、今回もクイズの正解にたどり着くための法律の根拠を探していきます。
まず、事業者が産業廃棄物の処理を委託する場合には廃棄物処理法第12条第6項により、委託基準を遵守する必要があります。
(事業者の処理)
廃棄物処理法第12条
1~5 略
6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
この委託基準の具体的内容は、廃棄物処理法施行令第6条の2に定められており、その中で委託契約に関する事項が規定されています。
(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
廃棄物処理法施行令第6条の2
法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一 ~ 三 略
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
ヘ その他環境省令で定める事項
施行令第6条の2第4号イからヘに定められている事項が、いわゆる、委託契約書の「法定記載事項」です。
さらに、その一部については、廃棄物処理法施行規則第8条の4の2において詳細に定められています。
(委託契約書に含まれるべき事項)
廃棄物処理法施行規則第8条の4の2
令第6条の2第4号ヘ(令第6条の12第4号の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 委託契約の有効期間
二 委託者が受託者に支払う料金
三 受託者が産業廃棄物収集運搬業又は産業廃棄物処分業の許可を受けた者である場合には、その事業の範囲
四 産業廃棄物の運搬に係る委託契約にあつては、受託者が当該委託契約に係る産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、当該積替え又は保管を行う場所の所在地並びに当該場所において保管できる産業廃棄物の種類及び当該場所に係る積替えのための保管上限
五 前号の場合において、当該委託契約に係る産業廃棄物が安定型産業廃棄物であるときは、当該積替え又は保管を行う場所において他の廃棄物と混合することの許否等に関する事項
六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報
イ 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
ロ 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
ハ 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
ニ 当該産業廃棄物が次に掲げる産業廃棄物であつて、日本産業規格C0950号に規定する含有マークが付されたものである場合には、当該含有マークの表示に関する事項
(1) 廃パーソナルコンピュータ
(2) 廃ユニット形エアコンディショナー
(3) 廃テレビジョン受信機
(4) 廃電子レンジ
(5) 廃衣類乾燥機
(6) 廃電気冷蔵庫
(7) 廃電気洗濯機
ホ 委託する産業廃棄物に石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物又は水銀含有ばいじん等が含まれる場合は、その旨
へ 委託者が特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)第2条第5項に規定する第一種指定化学物質等取扱事業者である場合であつて、かつ、委託する産業廃棄物に同条第2項に規定する第一種指定化学物質(同法第5条第1項の規定により第一種指定化学物質等取扱事業者が排出量及び移動量を把握しなければならない第一種指定化学物質に限る。)が含まれ、又は付着している場合には、その旨並びに当該産業廃棄物に含まれ、又は付着している当該物質の名称及び量又は割合
ト その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項
七 委託契約の有効期間中に当該産業廃棄物に係る前号の情報に変更があつた場合の当該情報の伝達方法に関する事項
八 受託業務終了時の受託者の委託者への報告に関する事項
九 委託契約を解除した場合の処理されない産業廃棄物の取扱いに関する事項
ここまで確認したとおり、委託契約書には多数の法定記載事項が定められていますが、その中に今回のクイズで出題した「許可番号」は含まれていません。
受託者の情報として必要とされているのは、条文に赤字で記載しているとおr「産業廃棄物処理業者の事業の範囲」です。
この「事業の範囲」とは、例えば産業廃棄物収集運搬業であれば、取り扱うことのできる廃棄物の種類や積替保管の有無、産業廃棄物処分業者であれば、処分方法や処分可能な廃棄物の種類などを指します。
一方で、許可番号については、排出事業者がその番号のみから受託者の業務内容を直ちに把握できるものではなく、実務上の確認手段としての有用性は限定的です。許可番号から把握できるのは、あくまで当該事業者が取得している許可情報にとどまります。
このため、委託契約書においては、許可番号よりも「事業の範囲」を明確にすることが重要であるといえます。
なお、許可番号に何が記載されているのか詳しく確認したい方は、当事務所の以下の記事で詳しく解説していますので、ご興味のある方はご参照ください。
【必見】産業廃棄物収集運搬業の許可番号の秘密を解説!
【必見】産業廃棄物処分業の許可番号の秘密を解説!
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