古物商の許可があれば、個人宅から廃棄物を回収できる?
Q:古物商の許可があれば、個人宅から廃棄物を回収できる?
A:個人宅の廃棄物を回収する場合は、古物商ではなく、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です
唖然

不用品回収業者の大部分は、取得許可として「古物商」を記載しているのに!?

まずは、「古物営業法」の根拠規定を見ていきましょう。

古物営業法 第2条
 この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。以下同じ。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。
2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの
二 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業
三 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
3 この法律において「古物商」とは、次条の規定による許可を受けて前項第一号に掲げる営業を営む者をいう。
4・5 (略)

「古物商」とは、「古物営業許可」を受け「古物営業を営む者」を指します。

肝心の「古物営業」は、上記の古物営業法第2条第2項第一号で、「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」と定められています。

具体的には、取引対象の「古物」を、「売買」もしくは「交換」または「委託を受けて売買・交換」する営業活動を意味します。

今回の出題は、「個人宅の廃棄物を回収」ですので、「個人から廃棄物回収費または運搬費用を徴収した上で、廃棄物を回収する」ことになり、古物の「売買」「交換」「委託を受けて売買・交換」のいずれにも該当しません。

そのため、古物として「売買」「交換」「委託を受けて売買・交換」しない限り、古物商は廃棄物に該当する不要物を運搬できません。

一般廃棄物収集運搬業許可を持たない古物商が、個人宅の廃棄物(今回の解説対象として事業目的で発生した物は除外します)を回収した場合、廃棄物処理法第25条の「一般廃棄物収集運搬業の無許可営業」で「5年以下の拘禁刑もしくは1千万円以下の罰金、またはこの併科」の対象となります。

ちなみに、産業廃棄物や事業系一般廃棄物の場合とは異なり、生活系一般廃棄物については、無許可業者へ委託した個人は刑事罰の対象とされていません。

とはいえ、市町村の処理費用よりも高額となる“無許可業者”にあえて回収委託をするメリットはまったくありませんので、不要品の処分に困った際には、まずは最寄りの市町村に相談をし、適切な回収方法を選択することが重要です。

無許可業者を根絶するか、あるいはのさばらせるかは、不要品処分を考えている一人一人の消費者の選択次第です。