
Q:定期的に委託料金が変動する場合は、産業廃棄物処理委託契約書の「委託料金」欄は空欄のままで問題は無い? A:委託契約書中の「委託料金」不記載は刑事罰の対象になります |

契約書という紙切れに記載しなかっただけで、刑事罰の対象にまでなるなんて酷すぎるわ!
もちろん、記載漏れがあったという事実だけで、いきなり刑務所にぶち込まれることは通常ありませんが、刑事罰の規定については、残念ながら嘘ではなく廃棄物処理法で明確に規定された現実です。
委託契約書関連の違反は、委託基準違反として、廃棄物処理法第19条の5の措置命令の対象になることにも注意が必要です。
まずは罰則そのものから
廃棄物処理法第26条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第六条の二第七項、第七条第十四項、第十二条第六項、第十二条の二第六項、第十四条第十六項又は第十四条の四第十六項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の処理を他人に委託した者
二~六 (略)
次は、廃棄物処理法第12条第6項の委託基準
(事業者の処理)
第12条 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第五項から第七項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
2~5 (略)
6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
最後は、委託基準のうち、委託契約書に関する条文です。
廃棄物処理法施行令第6条の2(事業者の産業廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)
法第12条第6項の政令で定める基準は、次のとおりとする。
一~三 (略)
四 委託契約は、書面により行い、当該委託契約書には、次に掲げる事項についての条項が含まれ、かつ、環境省令で定める書面が添付されていること。
イ 委託する産業廃棄物の種類及び数量
ロ 産業廃棄物の運搬を委託するときは、運搬の最終目的地の所在地
ハ 産業廃棄物の処分又は再生を委託するときは、その処分又は再生の場所の所在地、その処分又は再生の方法及びその処分又は再生に係る施設の処理能力
ニ 産業廃棄物の処分又は再生を委託する場合において、当該産業廃棄物が法第十五条の四の五第一項の許可を受けて輸入された廃棄物であるときは、その旨
ホ 産業廃棄物の処分(最終処分(法第十二条第五項に規定する最終処分をいう。以下同じ。)を除く。)を委託するときは、当該産業廃棄物に係る最終処分の場所の所在地、最終処分の方法及び最終処分に係る施設の処理能力
ヘ その他環境省令で定める事項
五 前号に規定する委託契約書及び書面をその契約の終了の日から環境省令で定める期間保存すること。
六 第六条の十二第一号、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令(平成二十五年政令第四十五号)第四条第一号又はプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令(令和四年政令第二十五号)第十四条第一号若しくは第二十条第一号の規定による承諾をしたときは、これらの号に規定する書面の写しをその承諾をした日から環境省令で定める期間保存すること。
「委託料金」は、上記の「へ その他環境省令で定める事項」になりますので、法定記載事項の一覧表を画像形式でお示しします。


上記の上段に記載した「すべての委託契約書に共通する法定記載事項」は、「収集運搬」と「処分」のいずれの委託契約書にも記載しなければならない内容です。
そのため、法定記載事項が欠けた契約書を作成・保存していると、委託基準違反の証拠という時限爆弾を抱え続けることになり、委託先処理業者が不法投棄に手を染めた瞬間、その時限爆弾は爆発し、排出事業者への法的責任追及を免れることは不可能となります。