日本国内でもっとも排出量の多い産業廃棄物の種類は?

Q:日本国内でもっとも排出量の多い産業廃棄物の種類は?

A:「汚泥」になります

環境省が毎年公表している「産業廃棄物の排出及び処理状況等について」によると、最新の「令和3年度実績」では、「汚泥」の排出量は1億5,982万トンで、産業廃棄物全体の排出量の42.5%を占めています。

ちなみに、排出量の第2位は「動物のふん尿」で8,127万トン、産業廃棄物全体の排出量の21.6%を占めています。

排出量の第3位は「がれき類」で6,250万トン、産業廃棄物全体の排出量の16.6%を占めています。

疑問

「汚泥」と「動物のふん尿」の2種類の合計だけで、産業廃棄物全体の排出量の64.1%になるということは、日本中が「汚い泥」と「牛さんのウ●チ」であふれかえってしまいそうだわ!

ご安心ください。

「汚泥」は「汚い泥」という漢字が当てられていますが、ほとんどの「汚泥」は、「不潔な泥」や「不衛生な泥」ではありません。

「汚泥」とは、「泥状(でいじょう)を呈している産業廃棄物」を指す言葉であり、「きれいか」「汚いか」ではなく、「泥状を呈しているかどうか」だけが判断基準となります。

「清潔」や「衛生的」という概念については、個人の主観に依存するところが大ですので、法律上は「泥状かどうか」だけで判断されています。

「汚泥」の具体例としては、「建設工事の際に発生した浚渫土を薬剤固化した物」や「製造工程で発生する脱水ケーキ」などがありますが、幅広い業態から発生する裾野の広い産業廃棄物の種類です。

さて、年間約1億6千万トンも排出される「汚泥」は、一体どうやって処分、あるいはリサイクルされているのでしょうか?

先にご紹介した環境省の統計資料では、「汚泥」その他の産業廃棄物のリサイクル率等も公表されています。

棒グラフの一番右側の「汚泥」を見ていただくと

  • 「再生利用率(=リサイクルされる割合)」は「7%」
  • 「減量化率」は「92%」
  • 「最終処分率」は「1%」

であることがわかります。

92%を占める「減量化率」とは、「汚泥の重量や体積を減らした割合」を指しますので、排出時と減量化後の汚泥の重量を比較すると、減量化によって重量が92%減少していることになります。

「汚泥」の大部分は水分とも言えます。

「汚泥」の基本的な処分方法は、「天日乾燥」や「脱水」「焼却」で、一部「直接、管理型最終処分場で埋立」されることもありますが、「乾燥」や「脱水」等で、「汚泥」に含有される水分の大部分を減少させ、その後に残った「しぼりかす」を「焼却」や「埋立」に回すことが多いことから、「92%」という驚異的な(?)減量化率になっています。